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#め組の大吾 救国のオレンジ 6巻 評論(ネタバレ注意)

1995〜1999年に週刊少年サンデーで連載され小学館漫画賞・文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞するなどして大好評を博した往年の名作「め組の大吾」の、同作者による続編。

今作は掲載誌というか出版社まで移って、週刊少年サンデー(小学館)から月刊少年マガジン(講談社)に。

『め組の大吾 救国のオレンジ』6巻より(曽田正人/講談社)

旧作の主人公は「朝比奈大吾」でしたが、今作の主人公は「大吾」違い。

個人の才能だけではなく、尖った才能を規律・規範を超えて臨機応変に受容・許容できる組織論的な話に。なるんかしらん。

新エピソードシリーズとして「消防救助技術大会」に向かう感じっぽく、ヒロインの雪の他、大吾(新)・駿のコンビも出場、サリエリ役の纏がライバルとして出場、予定。

訓練場の近くで起こった雑居ビル火災、満員のはずのネットカフェに救助に向かった大吾たちが見たのは、ほとんど無人のフロアだった…

『め組の大吾 救国のオレンジ』6巻より(曽田正人/講談社)

結果的に「ゴースト・レスキュー」というか、隠密部隊的な。

かっこいいシーンですが、人間相手に「敵を欺くにはまず味方から」を採り得る軍や警察と違って、「エリート部隊」はともかく、災害を相手に安全確保・リソース計画の上での総力戦と緊密な情報連携を旨とするレスキューの現場における「隠密部隊」はナンセンスです。

前作の大吾(旧)の「スタンドプレー」もある意味ナンセンスでしたが、物語上は「若手の暴走」「理解されない天才」として消化していました。

『め組の大吾 救国のオレンジ』6巻より(曽田正人/講談社)

「颯爽と現れてピンチを救う謎のゴースト・レスキュー」は絵ヅラは確かにとてもかっこいいですが、大吾(旧)のスタンドプレーを意図して組織的に再現しようとする、ナンセンスの最たるもので、「誰だかわからない救助隊員が現場にいる」って普通に考えて有り得ない。

が、今巻ではナンセンスにならないギリギリのリアリティラインで、描きたいシーン・絵ヅラを描き切った、という感じ。その皺寄せが全部、甘粕にw

結果的に「ゴースト・レスキュー」的になっちゃった経緯も偶発的でしたし、たぶん二度は描かれないシーンなんじゃないかな。

『め組の大吾 救国のオレンジ』6巻より(曽田正人/講談社)

作者が意図的に情報をマスクしているせいで、前作主人公・大吾(旧)たる朝比奈大吾の現況が不明、生きてるか死んでるかすら不明でしたが、今巻で、

・生きてる

・現役引退に至るような負傷や後遺症もなく健康

・現在はどこか南国に居住している模様? 東南アジア?

・しようと思えば自分の意思で千石市消防局?に復帰できる立場らしい

・甘粕と私的に連絡を取り合っている

ことが示されました。

前作における大吾(旧)の「スタンドプレー」は今作登場キャラたちのリスペクトの対象で、甘粕が組織として再現したい伝説である反面、その欠点も各自によって指摘され、大吾(旧)本人すらも否定しているのがちょっと面白いですね。

丸くなったというより、大人になったというかw

『め組の大吾 救国のオレンジ』6巻より(曽田正人/講談社)

前作以来ついて回っていた、「人の不幸の現場で輝く才能」のあるべきマインドセットの問題に、地味に答えが出たのもちょっと感慨深い。

 

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