#AQM

I oppose and protest the Russian invasion of Ukraine.

#勇気あるものより散れ 4巻 評論(ネタバレ注意)

『ガンスリンガー・ガール』『1518!』の相田裕の現作。

『ガンスリ』がとても残酷な設定でしたが『1518!』では一転して穏当な設定による青春もの展開で、「真人間になったのか」と思いきや、本作では再び残酷で重たい設定に。

『勇気あるものより散れ』4巻より(相田裕/白泉社)

「革命が人の血を吸う」ことについて考えてしまいますね。

無駄死にだったとは決して思わないけど、彼女ら彼らが本当に死ぬ必要があったのか、と思ってしまうことは、彼女ら彼らの何かに殉じた生き様と死に様に対する冒涜なんでしょうか?

明治七年。

幕末に「鬼九郎」の異名で知られた剣士、元・会津藩士の鬼生田春安は、死に場所を求めるように反・維新政府の活動に身を投じ、内務卿暗殺計画の現場で対峙した女学生風の娘に敗れ瀕死の重症を負わされる。

娘は不死者の一族を名乗り、彼を眷属として延命させることを告げる。

娘に救われた春安は生きる場所を得て、幕府から維新政府に受け継がれた、化野民(あだしののたみ・不死の一族)を巡る忌まわしき闘争に身を投じる…

『勇気あるものより散れ』4巻より(相田裕/白泉社)

という、主人公がヒロインの首に斬りつけるところから始まる、明治時代を舞台に不死をめぐる陰謀が渦巻く血生臭い伝奇剣戟アクション。

明治七年、作中で「近々 廃刀令が出る」とされているので、西南戦争(明治十年)直後の『るろうに剣心』のオープニングよりあと4〜5年古いぐらいでしょうか。

1巻のっけから敵本拠に押し入って、ヒロインの兄のラスボス級と対峙しながら不死者を殺せる妖刀「殺生石 華陽」を強奪、2巻以来その後始末というか潜伏・逃走劇の続き。

『勇気あるものより散れ』4巻より(相田裕/白泉社)

逃げる化野民のシノと春安、追うのも同じく化野民・シノの姉と兄、その眷属たち。

というわけで、追手のサーチ&デストロイから化野民同士が相撃つ剣戟アクションがメインに。

戦ってみると追手側も話せばわかりそうな良い奴が多く、剣戟バトル描写こそ派手ですがやや悪役不在気味、残酷で重たい話なんですけど、ちょいちょいコメディ描写・ラブコメ描写を挟んできて、笑っていいのやら悪いのやらw

今巻の表紙、及び話のメインは警視庁巡査・藤田五郎こと、元・新撰組の斎藤一。

『勇気あるものより散れ』4巻より(相田裕/白泉社)

時代フィクションで明治初期に「藤田巡査」といえば、幕末を生き残って警察官に転じた、新撰組の斎藤一。明治に生きた「新撰組の生き残り」として『るろ剣』をはじめ、引っ張りだこの人気の人物。

今回の斎藤一はちょっと『パトレイバー』の黒崎くんを思い出しますねw

敵役かと思いきや、そうか、鬼生田は元・会津藩士で、斎藤一も新撰組自体が会津藩主・松平容保の預かりだった上に、新撰組の敗走後も会津軍の一員として維新軍と戦った、いわば旧い戦友なのね。

バスケットボールのように所有者が替わる妖刀「殺生石 華陽」を巡って『ゴールデンカムイ』のように敵味方が入れ替わり、気がつけば化野民・その眷属・元薩摩藩士・元新撰組のイレギュラーなカルテット結成。

『勇気あるものより散れ』4巻より(相田裕/白泉社)

ヒロインの悲願、「華陽を以って母様の過酷な生を終わらせたい」が成就するのはまだまだ先が遠そうですが、その業の深い描写と、鬼生田や斎藤の幕末の回想だけでもご飯何杯もおかわりできそうw

今回の斎藤一は嫁に離縁されるのが怖い愛妻家にして恐妻家、というのも目新しくて面白いねw

『勇気あるものより散れ』4巻より(相田裕/白泉社)

という感じで次巻に続く。

 

aqm.hatenablog.jp

blog.livedoor.jp