#AQM

I oppose and protest the Russian invasion of Ukraine.

#機動戦士ガンダム ラストホライズン 2巻 評論(ネタバレ注意)

『ガンダム』のスピンオフ・コミカライズですが、「ガンダムエース」のKADOKAWAではなく、集英社のヤンジャンコミックス、連載はグランドジャンプなのかな?

0079、一年戦争後期。

ホワイトベース隊の活躍によりジオン軍が指揮官のガルマ・ザビを喪った直後の、北米大陸。

『機動戦士ガンダム ラストホライズン』2巻より(吉野弘幸/寺田ケンイチ/矢立肇/富野由悠季/集英社)

おー、早くもタイトル回収。

北米大陸の錆びた大地と沈む夕日、『ガンダム』というよりは『ザブングル』、『ダグラム』、『ボトムズ』、『フロント・ミッション』のような、「陸戦兵器」としてのモビルスーツが支配するハードボイルドな荒野。

地球連邦軍のマッカラン基地のジム小隊(?)は、宇宙から戦艦サラミスのカプセル(大気圏突入挺)で降下する新隊長を回収するために出撃。

しかし降下中に攻撃を受けたカプセルはジオン軍の勢力圏に降下。小隊の任務は新隊長の救出となった…

で始まる、宇宙世紀(U.C.)もの。

片ツノでジオンの紋章を付けた、謎の黒いガンダム。

『機動戦士ガンダム ラストホライズン』2巻より(吉野弘幸/寺田ケンイチ/矢立肇/富野由悠季/集英社)

レオ・バルナーク中佐、体力測定もMS適性もD判定、商社上がりで子持ちながらレビル将軍の姪と再婚して中途で入隊、という異色の経歴。

『踊る大捜査線』の青島くんと『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリーと『課長 島耕作』を足して割ったようなキャラ造形。

モビルスーツ描写、戦闘描写も上々の出来ですが、主人公はMSに乗らず、ヤン・ウェンリーばりの戦術指揮と人脈と商才?で活躍する、ありそでなかった『ガンダム』。

『機動戦士ガンダム ラストホライズン』2巻より(吉野弘幸/寺田ケンイチ/矢立肇/富野由悠季/集英社)

世にも珍しい、鉄道メンテ専用のガンタンク。

ぶっちゃけハズレも多い『ガンダム』スピンオフ・コミカライズの中では十分「当たり」の部類。

脚本と作画が分かれてまして、脚本家は『SEED』『SEED DESTINY』『オルフェンズ』などアナザーガンダムのアニメ本編にも参加していたとのことです。

『ガンダム』世界観、UC世界観の考証にも唸らされるものがあります。

初出・発明なのか、どこかで既に登場済の設定なのかは知りませんが。

『機動戦士ガンダム ラストホライズン』2巻より(吉野弘幸/寺田ケンイチ/矢立肇/富野由悠季/集英社)

宇宙育ちはタバコを吸わない。

コロニーにしろ宇宙船にしろ、空気(酸素)が限られた空間で生活しているので、考えてみれば当たり前なんですが。

言われてみれば『ガンダム』で、特に宇宙コロニーや宇宙戦艦内でタバコを吸うシーンを観た記憶がないなあ。

デギン、ドズル、あと地球に降りたランバ・ラルあたりが葉巻を吸ってたような気もするけど、ルックスが「葉巻吸ってそうなおっさん」ってだけで、気のせいのような気もする。

『機動戦士ガンダム ラストホライズン』2巻より(吉野弘幸/寺田ケンイチ/矢立肇/富野由悠季/集英社)

ビームサーベルは、自機を傷つける角度になると自動的に消える。設定でこの機能をオフにもできる。

あー。今回のように超接近戦にでもならない限り、確かに合理的。

そしてそれを逆手にとった戦術・戦法が既に作中で採られているという。

そして、パイロット以外にも、名もない砲兵・観測員・工兵・補給兵など、様々な兵種にスポットを当て活躍させる描写。

『機動戦士ガンダム ラストホライズン』2巻より(吉野弘幸/寺田ケンイチ/矢立肇/富野由悠季/集英社)

ガンタンクがこんなにかっこよく描かれる『ガンダム』もなかなか珍しい。

北米大陸の錆びた大地と沈む夕日、『ガンダム』というよりは『ザブングル』、『ダグラム』、『ボトムズ』、『フロント・ミッション』のような、「陸戦兵器」としてのモビルスーツが支配するハードボイルドな荒野。

アムロが乗ったガンダム「RX-78−2」が、伝説というよりファンタジーのように遠く似合わなく感じられる、錆びた戦場。

何が面白いって、ガンダムを見たことのない連邦軍の兵士たちが、ガンダムのことを

「ジムのプロトタイプ」

と呼んでるんですよね。

話の展開がたいしたことなくてもディティールの描写だけで既に面白いのに、話の展開自体もなかなかの面白さ。

早く続きが読みてえだ。

 

aqm.hatenablog.jp

aqm.hatenablog.jp