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#正反対な君と僕 4巻 評論(ネタバレ注意)

陽キャでギャルノリで楽しく学校生活を送る女子高生・鈴木は、その実、空気読みで周りの目を繊細に気にしていた。

隣の席の、黒髪クールメガネで無口で塩対応な谷くんのことが好きだったが、素直に好意を表せるわけもなく、陽キャノリの無茶振りイジりでしか谷くんに接することができずにいた。

『正反対な君と僕』4巻より(阿賀沢紅茶/集英社)

そんなある日、学校の帰り道が偶然一緒になったことをきっかけに、鈴木と谷をめぐる景色は一変する。

という、青春恋愛もの〜青春ラブコメの間のどこかに位置する作品。

第一話で早々に主人公二人がつきあっちゃうので「両想いの関係を維持する」ことが主眼、+クラスメイトたちの群像劇、というテイ。

『正反対な君と僕』4巻より(阿賀沢紅茶/集英社)

作品全体を通じて

「(誰もが持つ)内なる陰キャ要素を超克する」

「でも勇気だけでは人間関係の問題は解決できない」

ことがテーマであるように、そしてそれ故に多くの人の共感を得ている漫画のように思います。

『正反対な君と僕』4巻より(阿賀沢紅茶/集英社)

「修学旅行編」は高校を舞台にした青春ラブコメの華ですが、その「修学旅行編」。

先述のとおり既に群像劇化しているので、付き合いだした陽キャ&無口な主人公カップルがより互いに対する理解を深め、相手を鏡にして自分に対する理解を深めること以外にも、達観した女の子、内省的な男の子、片想いをする内気な女の子、片想いをする面白陽キャな男の子など、切り口がたくさん、しかも同時並行で。

『正反対な君と僕』4巻より(阿賀沢紅茶/集英社)

作品タイトルが示すテーマの一つ、スクールカーストやいじめで分断されることなく陽キャも陰キャも仲良くワイワイやってる、夢のような「あらまほしき青春時代の人間関係」が、キャラの努力や勇気や成長を伴って描かれています。

一見、ちょっと要素を詰め込みすぎなような気がする反面、青春時代・高校時代って学業にスポーツに恋に自分探しに家庭環境に将来の夢や進路にと、そもそも現実が要素詰め込みすぎなので、その「要素詰め込み過ぎ感」が破綻することなく再現されています。

『正反対な君と僕』4巻より(阿賀沢紅茶/集英社)

「修学旅行編」はありとあらゆる青春ラブコメでほぼ確実に描かれるイベントで、描かれる内容もカブりまくり、他作品と差別化するためにいろんな「事件」が起こりがちでもあるんですが、

「他の作品と違うことを描こう」

ではなく、

「作者がこの作品、この修学旅行編で描きたいことを描こう」

という、気負ったところのない、大きな事件も起こらない、でも少しづつキャラが成長したり人間関係が変化したりしつつ、なによりみんな本当に楽しそうに過ごしている、

『正反対な君と僕』4巻より(阿賀沢紅茶/集英社)

実にこの作品らしく、読み返して何度も振り返りたくなる「修学旅行編」でした。

 

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