師事する異種言語学の教授が腰をやっちゃったので仕事を引き継いだ人間の青年・ハカバ。調査のために気球で魔界へ。
まずはワーウルフの集落へ。ワーウルフと人間のハーフの女の子・ススキをガイドに魔界調査旅行。
モンスターたちのおおらかでいい加減でのほほんとした社会。
見てたら実は魔界の中でも種族が違うと言葉あんまり通じてないんだけど、「まあ、なんとなくでいいか」的なテキトーなコミュニケーションが異文化交流の初期っぽくて全体的になんか可愛い。
冬の村にススキと共に滞在したハカバは村に住む様々な種族とのコミュニケーションに悪戦苦闘しつつ、教授の残した手記から、無意識に目を逸らしていたある事実に気がついてしまう。
気づいた事実と将来起こるであろう事態を重ね合わせて、ハカバは暗澹たる気持ちを抱くが…
前巻の感想でこう書いたんですが、
次巻で教授の至った境地がおそらく描かれることになるんだと思いますが、とても興味深く、楽しみです。
特に書かれませんでしたw
引き続き、種族の違う者同士がなんとなく同行する旅と、着いた先で出会う新たな種族。
哺乳類っぽい者、鳥類っぽい者、爬虫類っぽい者に加えて、今巻ではとうとう「魚類っぽい者」、水中です。
もうなんか「宇宙人との交信」じみてきたなw
「魚類っぽい者」の言語の類推過程を見ていると、ハカバが理解できるようになる気がしない、と言うのとは別に、少し
「言語を理解できることが相互にとって幸せなことなんだろうか」
という気がしてきて、それは実は「魚類っぽい者」に限らず、本作に出てくる魔界の住民たちもすべて一緒なんじゃないか、という気もします。
現実世界で飼っているペット、犬や猫が人間の日本語を完全に理解し、喋ることができたら。
そういうファンタジー・フィクション作品は沢山ありますが、それが現実となったら果たして人間と動物、双方にとって果たして幸福なことなんだろうか。
言葉が通じない方が友好的で在れることもあるんだろうなあ、と、ハカバが魚を食いつつ魚の言語を解明しようとする今巻を読んで、思いました。
人間と違って、食われたぐらいでは、彼らは怒らないのかもしれないですが。
aqm.hatenablog.jp