
熊狙いのライフル持ち*1女性猟師・チアキ(31)に密着取材を申し込むフリーライター・伊藤。2人は熊を求めて日々、北海道の山中に入る。

『クマ撃ちの女』11巻より(安島薮太/新潮社)
伊藤が取材を始めて2回目の猟期。伊藤も体を鍛え知識を蓄え、チアキの足を引っ張る事なくむしろアシストさえしながら同行取材できるように。
チアキにとっての因縁・宿命のヒグマ個体「牙欠け」との対峙を通じて、伊藤はチアキの「牙欠け」への妄執と狂気、人間性の欠如に疑問を持ち離れていく。
そんな千秋にキラキラ系猟師ワナビーの女子大生が押しかけ弟子入り、だがしかし…

『クマ撃ちの女』11巻より(安島薮太/新潮社)
危険で金にならないクマ撃ちにこだわるチアキが、女性であることを除いても猟師の中で異端なのはわかってきましたが、作品の縦軸は
・伊藤との復縁、関係の進展?
・「牙欠け」との決着
かなと思います。
女子大生の押しかけ弟子から枝が伸びて、山で出会った「鹿撃ちの女」による鹿撃ちと専業化に向けたレクチャー。

『クマ撃ちの女』11巻より(安島薮太/新潮社)
今巻を一言でいうと
「狩りだけで食ってくの大変」
と
「やっぱりクマ撃ちはちょっと頭がおかしい」。
また二言になってもうた。
俺じゃないですからね、この漫画に描いてるんですからね。
「クマ撃ちはちょっと頭がおかしい」
は作者と漫画のフィルターを通してしか自分は知らないですけど、こうして描かれると必ずしも「安全で高効率」と言えない鹿撃ちですら専業の生業とするには厳しい中、更に売れなくて更に危険なクマ撃ちは…となりますね。

『クマ撃ちの女』11巻より(安島薮太/新潮社)
オイ、話がややこしくなるから鹿撃ちの女まで頭おかしく描くんじゃねえよw
当然、漫画として描かれているのでリアリティを感じてもリアルであるとは限りませんが、「もう一人の天才クマ撃ち」が登場した今巻を通じて見る限り、「クマ撃ち」の持つ倫理観・人生観・死生観が、人間社会よりも「山」に傾倒しているように描かれていると感じます。

『クマ撃ちの女』11巻より(安島薮太/新潮社)
もはや「狩猟」ではなくライフル銃を根拠に少しだけ有利な「格闘」、「対峙」であって、支えるモチベーションも野生化しているというか。
かつて
「娘さん よく聞けよ 山男にゃ惚れるなよ」
と歌われましたが故事に倣うなら、
「お兄さん よく聞けよ クマ撃ちの女にゃ惚れるなよ」
とでも言う感じで、

『クマ撃ちの女』11巻より(安島薮太/新潮社)
チアキと伊藤の仲も11巻にして未だなかなか前途多難な。
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