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#FX戦士くるみちゃん 5巻 評論(ネタバレ注意)

萌え漫画みたいな表紙詐欺やめーやw

2008年、中学3年の少女・くるみの母親は、単身赴任の夫に内緒で家計をFXの豪ドル円につっこみ、リーマンショックによる金融危機で2000万円の損失を出して自殺した。

2014年、20歳の大学生となったくるみは、母が失った2000万円を取り戻すべく、バイトで貯めた30万円を元手に母を殺したFXに挑む。

『FX戦士くるみちゃん』5巻より(炭酸だいすき/でむにゃん/KADOKAWA)

絶望の地獄と、父のタンス預金を盗んでまでロスカットを回避した上での天国との、その両方を経験したくるみは、沼のようなFXの魔性に囚われていく…

という、美少女FX漫画。

こうして見ると美少女麻雀漫画「咲-Saki-」のFX版みたいなルックスですけど

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『FX戦士くるみちゃん』2巻より(炭酸だいすき/でむにゃん/KADOKAWA)

「咲-Saki-」と違うのは、この4人のうち1〜2人ぐらいは最後に自●しそうな匂いがぷんぷんするとこです。

癒し系の萌え漫画と勘違いして買わないように気をつけましょう。恋愛要素も百合要素も、自分の目から見るとほぼ在りません。

例えこの漫画が大ヒットしても、影響されてFX始めて破産して「作者を●して俺も◯ぬ」なんて奴が万が一にも現れないよう、

『FX戦士くるみちゃん』5巻より(炭酸だいすき/でむにゃん/KADOKAWA)

FXにのめり込む初心者の心に生じる闇が念入りに描かれた作品。

人間の自制心が溶けていく、ほとんどサスペンスホラー。

ここんところは「意識だけ高い系」のイキリ小娘・芽吹が、FXの沼から借金の沼へ沈んでいく様子をじっくりと。

『FX戦士くるみちゃん』5巻より(炭酸だいすき/でむにゃん/KADOKAWA)

「無謀な投機への警鐘」という要素がなかったら、ただの「他人の不幸でメシが美味い」だけの悪趣味で不幸ポルノ的なリアリティーショー漫画になりかけている気もします。

ただ、資本主義社会の「すぐそこに在る罠」に対する問題提起と、人間の持つ欲の深さ、心の弱さ、窮地に陥った人間の客観性の欠如、堕ちていく過程の生々しさの描写のわかりやすさは群を抜いていて、どう評価したもんだかw

『FX戦士くるみちゃん』5巻より(炭酸だいすき/でむにゃん/KADOKAWA)

「できれば投資でラクしてお金持ちになって幸せになりたい」

「お金が勝手に増えて欲しい」

とは、私も思いますし興味はありますんで、読むんですけど。

読んでみたら本作中、ラクそうな人も幸せそうな人も居ませんけど。

ここで第5回!チキチキ!AQMが持ってるはてな株の最新株価のコーナー!

ハイ、ということでね。

芽吹が沼に沈んでいく様子にスポットが当たり続けていますが、ヒロイン・くるみちゃんがやや影が薄くなりつつあるな、というのと、クールに高みの見物で他人の投資人生をおもちゃのように弄ぶ萌智子が実は一番闇が深いんじゃないか、と思ってたんですが、今巻前半はその萌智子の前半生を回想しつつスポットを当て、今巻後半では再びくるみの投資模様に回帰。

『FX戦士くるみちゃん』5巻より(炭酸だいすき/でむにゃん/KADOKAWA)

FX沼の不幸ポルノを野放図に描いているわけではなく、史実の相場の動きにある程度準拠していること、また4人ヒロインの生き様が対比して描かれることで、なにか『アリとキリギリス』的な寓話のような趣があります。

若者の進路において「プロの漫画家を目指す」って、旧来型の世間の「大学に行ってカタギに就職するのが無難」という価値観と比べると「博打」「ギャンブル」とされがちですけど、本作中でプロの漫画家を目指していきそうなやす子が

『FX戦士くるみちゃん』5巻より(炭酸だいすき/でむにゃん/KADOKAWA)

4人の中で最も堅実で健全に見えてしまうというのも、「堅実」「健全」なんて相対的なものでしかないんだな、と気付かされて、ちょっと面白いですねw

 

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