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#ダンジョンの中のひと 4巻 評論(ネタバレ注意)

父親の英才教育で一流のシーフに成長した少女・クレイは、3年前にダンジョンで消息を経った父親を追って日々ダンジョンに潜っていた。

冒険者ギルド登録パーティの最高到達記録が地下7階なのに対して、シーフギルド所属のクレイはソロで地下9階に到達。

かつてない強敵・ミノタウロスと対峙。ミノタウロスが投じクレイが躱した巨大な戦斧がダンジョンの壁を破壊した瞬間から、しかしクレイの世界は一変する。

『ダンジョンの中のひと』4巻より(双見酔/双葉社)

ダンジョンの秘密を知る立場となったクレイの対応をミノタウロスから引き継いだダンジョン管理人の少女・ベルは、クレイに「ダンジョンのスタッフになりませんか?」と問いかけるのだった…

という変化球ファンタジーもののお仕事漫画。

TVアニメ化が決定だそうで、可愛くて面白いのにどこかそうした浮ついた話題と縁遠そうな作品だけに、これは嬉しい。

特異な設定を転がして常識人の主人公がツッコむ、基本的にコメディ進行。

『ダンジョンの中のひと』4巻より(双見酔/双葉社)

凄腕シーフ・クレイの、その雇い主となった実はダーク・シュナイダー級の魔導士でダンジョンマスターながらポンコツ生活力のベル。

レギュラーで登場する主要キャラも3人と少なく、舞台も一つのダンジョン内に基本的に閉じていて、決して壮大な世界観ではないですが、箱庭的というのか、作者の想像力がよく働いた設定で、うんちく読んでるだけでも楽しい。

『ダンジョンの中のひと』4巻より(双見酔/双葉社)

基本、クレイの「職場見学」を通じてダンジョンの仕組み・うんちくが語られつつ、余暇を利用して探索者としてダンジョン攻略を進めていく進行。

ベルから魔法制御の基礎を学んでクレイが成長を実感しつつ、ダンジョンで行方が知れなくなった父のその後、いつかベルを超えることができるのか、その時ダンジョンはどうなるのか、などが縦軸に。

『ダンジョンの中のひと』4巻より(双見酔/双葉社)

なんですが、新キャラの吸血鬼おもろいとか、ベルが可愛いとかありつつも、今巻は基本進行を逸脱して縦軸が動きました。クレイが積年、追い求めていた邂逅、そして対峙。胸熱展開。

作中、うっすらと「強さランキング」がありますが、クレイはランキング・ブレイカーを志しています。

『ダンジョンの中のひと』4巻より(双見酔/双葉社)

クレイとベル、二人とも可愛くて仲も良いのに、そうまでしていつかベルに勝とうとしなくてもいいじゃない、ずっといちゃいちゃしてなさいよう、と読者感情としては思ってしまいますが、クレイからしたら

「そこにダンジョンが在り、最後にダンジョンマスターが居るから」

という探索者・冒険者のサガでしかないですしね。

「ダンジョンマスターの打倒」は「代がわり」を連想させますが、「先代」は今どこで何をしているんでしょうね。本当に。

『ダンジョンの中のひと』4巻より(双見酔/双葉社)

かわよよよ。

次巻もアニメも、楽しみだねえ。

 

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