わーい、管理官(ハンドラー)のお姉さんが表紙だー! 管理官大好き!
今巻は珍しく管理官の日常コメディエピソードもあって眼福。
タレ目・まつ毛・メガネのクール美女。良いですよね。
管理官(ハンドラー)と言えば、先日『アーマード・コア6』をプレイして3周クリアしたんですが、
『AC6』もハンドラーが名脇役でした。すごい面白かったよ、『AC6』
さて。
凄腕スパイ・暗号名「黄昏」に下った新たな指令は、妻と新小学生の子どもを調達して敵国の名門校のPTAに潜入し、平和を脅かす危険な黒幕に近づくこと。
任務のために孤児院で適当に選んで引き取った娘・アーニャは、他人の心が読める超能力者だった。
ひょんな縁からトントン拍子で任務のために妻に選んだおとなしげな美女・ヨルは、凄腕の殺し屋だった。
互いに正体を隠して家族になった3人。人の心が読めるアーニャだけがひとり全てを知り、新しいスパイの父と殺し屋の母に「わくわくっ…」としていた。
前巻が比較的シリアスなバスジャック事件だったこともあって、今巻はその後日談というか、日常コメディなエピソードな前半。
「ハードボイルド+ファミリーもの」
の二面性を持つ作品ですが、それに加えて前述の管理官(ハンドラー)といい、アーニャといい、ヨルさんといい、ヒロインたちがみんなチャーミングな漫画ですね。
何だこれ可愛いな…
というキャラの魅力の詰まった前半の日常コメディから、後半はシームレスに息もつかせず再びシリアスなエピソードシリーズ。
「二重スパイ狩り編」とでもいうか。
「スパイもの」は「殺し屋もの」と並んでハードボイルドの中でも人気ジャンルですが、「スパイもの」には騙し騙され裏切り裏切られの「二重スパイもの」エピソードもまた付きもの。
スパイって潜入して敵に接近する仕事なんで、潜入しているうちに敵の思想に染まって「転ん」だり、あるいは潜入対象が敵のスパイ組織そのものだったりで最初から裏切りが織り込まれていたり。
なんですけど、「二重スパイもの」ってキャラの動機や駆け引き、敵味方の入れ替わりが複雑になりがちで、なかなか難解というか、油断するとよくわかんなくなりがちなんですよね。
本作はそれに加えて主人公・黄昏の『ルパン三世』ばりのミラクル変装技術もあって、少し集中して読まないといけません。
大人の可読には十分耐えうる程度の難解さではあるんですけど、アニメで楽しんでる小さい子どもたちがついてこれるか少しハラハラしますねw
まあ、自分が子どもの頃も『1stガンダム』をちゃんと理解しながら観てたかっつと、割りと雰囲気で楽しんでたとこありましたし、「アーニャが可愛ければなんとかなる」作品でもあるんですけど。
今回懸案の二重スパイは、今まで登場した中でもっとも能力的にロイド(黄昏)に接近している(互角?)存在で、なかなか見応えがあります。
あと、黄昏や夜帷などのWISEのスパイたちの強力な動機はこれまでも描かれていましたが、今巻それに加えて自分の生命も顧みない悲壮な覚悟が描かれ、その上で黄昏が偽装家族の生活を通じて、スパイとして精神的に「鈍って」きている様も描写されます。
「ハードボイルドもの」と「ファミリーもの」はエンタメにおいて相性が良いんですけど、その相性の良さは主人公の葛藤によるもので、「主人公の葛藤」ということはつまり本人的には「スパイ」と「ファミリー」って相性が悪いんですよね。
「相性の悪さ(葛藤)をコミカルに楽しめる」という意味で相性が良い、というか。
アニメ人気も含めて『SPY×FAMILY』という作品の需要のされ方は、
「(アーニャのような)子どもも楽しめるハードボイルド・コメディ作品」
のようなイメージで良くも悪くもある程度の枠が決定づけられてしまったようなところがあって、更に今巻で示された黄昏の「鈍り」、スパイ本人にとってのハードボイルド要素とファミリー要素との相性の悪さを考えると、作品のエンディングというか、黄昏の最終的な運命が既に2種類ぐらいに規定されちゃってるイメージはあります。
青年誌のハードボイルドものだともうちょっと許される展開の自由度が高いイメージですけど、そこはやはり本作は少年誌レーベルの作品ですし。
むかしの子どもが『1stガンダム』を通じて、ガンプラのかっこよさの隙間から戦争と相対する個人の矛盾ややるせなさを目撃したように、
「戦争と平和」
「大人と子ども」
をテーマに、作品に何かメッセージを込めたいというか、観ている子どもたちに「大人の背中」を見せたい作品・作風・作者であるようにも思います。
「どっち」を選ぶんだろうか、と今から少し気もそぞろ。
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