大剣を携えた黒衣の剣士・ガッツを主人公にしたダークファンタジー。
ファンタジーRPGゲームで例えるなら、ドラクエ・FFなどが代表するJ-RPGではなく、完全に洋モノ。
猫と虎の赤ちゃんを見分ける上で、将来体躯がデカくなる虎の赤ちゃんの手足は既にぶっといので一目で見分けがつくように、最初っから一目で手足のぶっとさが理解できた作品。
デカいスケール、緻密な作画、恐ろしい展開、残酷な描写、「周りに誰もいないところを走っている」漫画の一つ。
2002年、第6回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞。
遅筆で休載が多いことでも知られながらも、「あの作画じゃしょうがねえ」と作画の精緻さによって遅筆が理解され許されてきた稀有な作品。
それと引き換えに冗談混じりに「完結前に作者か読者が死にそうな漫画」の話題の度にリストに名を連ねてきた作品ですが、ご存じのとおり作者の三浦建太郎が死去。
前巻が遺稿、作者本人の筆による最後の巻になりました。
未完。
前巻の感想で
「死んだらあの世でベルセルクの続きが読める」と思って、楽しみにしています。
と書きましたが、
aqm.hatenablog.jp
親友であり三浦から『ベルセルク』の結末までを伝え聞いていた漫画家の監修のもと、編集とアシスタント陣の執念で刊行続行。
前巻の続きから、42巻。
「よくぞ継いでくれた」
という気持ちと、
「三浦(作者)と自分(読者)の『ベルセルク』に触るな」
という気持ちで、千々に乱れてどういう心持ちで読めば良いか、まだ整理もつきませんが。
漫画作品を構成する要素って、
「あらすじやキャラの運命、結末が知れれば良い」
という、ファスト映画的な興味だけで構成されているわけではないですしね。
三浦が描いていた頃から鬱展開が長く続く暗い作品でしたが、同時にそんな暗さの中を新展開のワクワク感や三浦独特のセンスによるギャグコメディ、フェティッシュなヒロイン描写、何よりも精緻な描画が「ご褒美」として作品を牽引してきた漫画。
今巻は、一同で訪れていた妖精島へ突如グリフィスが降臨したことによる、この作品何度目かのカタストロフ。
「展開が駆け足」との批判も目にしましたが、もともとカタストロフ描写にじっくりページを割きがちだった三浦本人が描いていたとしても、ギャグコメディなどの「ご褒美」を差し挟む余地のない展開で、三浦本人が抜けたことの影響は自分には正直判断つきません。
平たく言うと、
「誰が描いても暗くて重たい『大崩壊』エピソード」
で、主人公たちに感情移入した目線から見て、そんなに面白い巻ではないです。
新制作陣の真価の見極めは次巻以降に持ち越しかな。
とりあえず、死んであの世に行かずとも『ベルセルク』の続きを読めることをまずは言祝ごうかと。
迷っただろうし、批判もされるかとは思いますが、始めた以上は完走を期待しています。
願わくば、今度は自分(AQM)が死んでしまう前に、完結しますように。
長生きするぞう。
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