今巻の表紙の「その者、蒼き衣を纏いてなんとかかんとか」感、良いなw
空飛ぶ龍を捕龍船(飛空艇)で狩る「龍捕り(おろちとり)」にまつわるファンタジー。
狩った龍は解体して売ったり食ったり。
若干、風の谷の天空のなにか風味。
「船喰い」と恐れられる伝説の龍「震天王」テュポーンをリベンジ戦で倒し、その代償として主要メンバー・ギブスの左腕を失ったクィン・ザザ号。
ギブスを見舞いつつ、束の間の休息の後、新メンバーを迎えて新展開へ。
バトル漫画ではないものの、「伝説の龍」とされるテュポーンを倒し、作品の「宿題」がなくなったことで、この後なにを描くのかしらん?
しばらくはルーチンワーク的なクィン・ザザ号の日常が描かれつつ、新展開への布石を敷いて、じっくり盛り上げていく感じかしらん?
とか思ってたんですが、
「宿題なんか知らねえ!要らねえ!関係ねえ!」
とばかりに、フルスロットルで新展開に突入。
物語を語る上で「スケールが大きい」という言葉は必ずしも「物理的なサイズがデカい」ことを意味しませんが、絵の力で
「物理的なサイズのデカさもまたスケールの大きさなのだ」
と説得力を伴って感じさせる描き手というのはやっぱり居るんだな、というのを久しぶりに感じました。
どーすんだよ、こんなにデカいのw と思いつつも、あまりにも雄壮で、力づくでワクワクさせられてしまいますね。
展開もねえ、決して物語的に複雑だったり巧みだったりするわけではない、わっかりやすいことをやってるだけだと思うんですけど(だって龍を獲って食うだけの漫画なんですよコレ)、
「こんな展開を隠し持っていたのか!」
というよりは、
「ああもう、早く描きたくてウズウズしていただろうなコレ」
という。楽しそうに漫画描きますねえ。
なんでもない、セリフもない、繋ぎのコマのワンシーン、その向こうにブワーッと色んなことを想像させる拡がりと奥行きを持った、味のあるシーンを描かれます。
ボケーっと「なんか宮崎駿っぽいなー、良作だなー」と思いながらここまで読んできましたけど、
「現実では見られない空想をして」
「そこに生きる人間たちを添えて」
「見てきたかのように絵で表現して」
「それを漫画に仕立てて」
という、現実にはあり得ない光景を説得力とワクワク感を伴って表現する、世界を創って魅せる点において、気がついたら鳥山明や宮崎駿や尾田栄一郎を継いで当代屈指の漫画なのかもしれない。
新展開、始まってまだちょっとしか描かれていないのに、この先どんな景色を見せられるのかとても楽しみです。
自分も漫画なんか読んでないで、見たことのない景色を見に、食ったことのないものを食いに、どこか遠くに旅に出かけたくなる。
アニメ化という「旬」も過ぎた後で、こうして更に面白くなってみせる、というのがまた、良いですよね。
aqm.hatenablog.jp