#AQM

あ、今日読んだ漫画

#売国機関 9巻 評論(ネタバレ注意)

東西の大国に挟まれ緩衝国として強制的に戦火の舞台にされた小さな共和国に、両大国の都合で今度は強制的に平和が訪れて一年。

強制された屈辱的な平和、両大国と唯々諾々と安保条約を結ぶ政権を、不満を募らせる左右の過激派は「売国奴」と罵り、暴徒・テロリストと化す。

『売国機関』9巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

前線で血を流し友を亡くしながら平和を勝ち取った「塹壕貴族」たちは、平和をすべての脅威から死守するべく、特務機関・軍務省法務局公衆衛生課独立大隊「オペラ座」、蔑称「売国機関」を設立。「平和の敵」と化した市民たちへ銃を向けた。

「幼女戦記」原作者による情報・防諜・公安もの。

前々巻、対王国強硬派と親王国派の野合による連立政権が発足。

前巻、王国と連邦の専横に危機感を募らせた共和国軍部によりクーデター計画が進行。

『売国機関』9巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

共和国軍内でクーデターを起こすことになる張本人たちをよそに、それぞれが一枚岩ではない共和国・連邦・王国のそれぞれの黒幕勢力が、利害が一致しないにも関わらずそれぞれの目的でクーデター計画を明に暗にサポート、そのすべての思惑を外してミラクル偶発的な事故をきっかけに暴発的にクーデター発生。

みんなが個別それぞれにちょっとずつ後押しした効果に、神の一手の最後の後押しも加わって、誰も望んでいなかったタイミングでのクーデター暴発で、関わったすべての国家の黒幕勢力がそれぞれに思惑を外して慌てふためく事態に。

という前巻を受けての今巻。

『売国機関』9巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

前巻の感想で

連立政権発足以来、喜劇だわw 真面目にクーデター起こす人たちがむしろ可哀想。

と書きましたが、今巻はそれ以上の喜劇。真面目にクーデター起こす人たちが本当に可哀想になるギャグ巻に。

チャップリンの喜劇映画みたいねw

むかし『バクマン』で「シリアスな笑い」という概念が提示されましたけど、まさにあんな感じに。登場人物みんな真剣なのに…

『売国機関』9巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

「軍部の暴発」と「政治の暴発」の板挟みになる可哀想な軍人ヒロイン。

政治劇でこれをやられると更にギャップが際立ちますね。昔の田中芳樹作品とかもこういう

「真剣な悪意による陰謀戦に混入した偶発的事象による喜劇的な状況」

の展開、好きでしたよね。

クールでシニカルでニヒルなヒロイン・ロフスキ少佐も、「ツッコミ役」を通り越してもうなんだか『ピューと吹く!ジャガー』のピヨ彦みたいw

『売国機関』9巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

そんな降伏勧告があるかw 別の意味で脅迫じゃねえかw

もともと面白い漫画でしたけど、今巻は

「あー、こういうのがやりたかったのか(本当にそうか?」

という面白さでした。

こういう展開が本領発揮なのか、イレギュラーなのか、作者の本当の意図・狙いはわかりませんし、

『売国機関』9巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

わかりやすいミラクル面白発生機と化した新首相が、ちょっとジョーカーすぎる気もしますがw

 

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