#AQM

I oppose and protest the Russian invasion of Ukraine.

#ダンダダン 12巻 評論(ネタバレ注意)

霊媒師の家系(かけい)のギャルと、いじめられっ子気味で孤独なオカルトオタクの少年の同級生ガールミーツボーイから始まる、オカルトバトルなバディもの。

『ダンダダン』12巻より(龍幸伸/集英社)

「ボーイ・ミーツ・ガール」、「オタクに優しいギャル」、「ラブコメ群」、「ちょいエロ」、「呪術廻戦、チェンソーマンなどの最近のジャンプのオカルトバトル漫画群」、「うしおととら」、「東京入星管理局」、「GANTZ」、「メン・イン・ブラック」、「漫☆画太郎」、

あたりを足して適当に割ったような感じ。

いろんなジャンルのごった煮、カオスな闇鍋みたいな漫画。クリーチャーも宇宙人から妖怪から幽霊から割りとなんでもあり。

『ダンダダン』12巻より(龍幸伸/集英社)

今巻もいろんな過去作品を想起させるオマージュが散りばめられています。

ちょっと奥浩哉的とでもいうか、「描きたい画」が先に在って、そこから逆算してエピソードを繋げていってる作り方?と思わなくもないですが、よくわからんねw

倒すべきラスボスも、辿り着くべき約束の地も、提示されないまま、ただただ降りかかり続ける火の粉を払い続け仲間が増え続け経験を重ね続けてより強く成長していき続ける、ステージ制のタワーディフェンス・ゲームのようにエピソードが重ねられます。キンタマ以外。

『ダンダダン』12巻より(龍幸伸/集英社)

「海賊王を目指す」でもなく「ひとつなぎの大秘宝」を求めるでもなく。

作品を貫く縦軸、キンタマしかない。あとラブコメ。

テンプレのような学園ラブコメ展開と既知の「学校の怪談」のエピソードパートに、何の説明もなく突如襲来するタワーディフェンスバトルパート、ユニークで精緻なクリーチャー&メカの動かせるデザインを、体重が乗った肉弾戦と溜めの開放感がある遠隔攻撃を組み合わせたガンカタのようなバトル描写、作者の漫画読者としての原体験、必ずしも順風満帆ではなかったキャリア、ガンダムA、編集担当・林士平との出会いと編集作品の共通点、アシスタントとして師事した作家たち。

躍動感あふれる見応えのあるアクション描写、奇想天外な風景を緻密に描画する画力。

に対して、ストーリーテラーとしてはおそらく短中編に特化した作家さんなのかな、と思うようになってきました。

『ダンダダン』12巻より(龍幸伸/集英社)

ということで、…これは「なに編」って呼ぶべきなんかしら。「バモラ&カシマレイコ編」?

その「バモラ&カシマレイコ編」のクライマックスの舞台が整って、大挙して押し寄せてくる侵略異星人、まさに「インベーダー」たちを相手の総力戦が満を持して開幕。

しかし、いつもながらの最強キャラ・星子の不在はもちろんのこと、呼ばれなかった最強ロボパイロット・坂田、誤解がもとで桃に追い出されてしまったバモラ、重症治療中で幽体離脱中のオカルン、などなどが不在と、飛車角落ちどころか戦力半減の陣容。

えーと、桃ちゃん、愛羅、ジジ、シャコ星人+セルポ星人の5人か。

相変わらず躍動感に満ちた画力に「どうしてこうなった」という奇想天外なモチーフと構図による、見応え十分なバトル描写ながら、展開自体は善戦するもジリジリ押される曇らせ展開。

『ダンダダン』12巻より(龍幸伸/集英社)

桃ちゃんの大ピンチに現れ自身の重傷と引き換えに彼女を助けるバモラ。

治療のために超能力で彼女に触れた桃ちゃんと、接続されたメンバーたちの脳に流れ込む、バモラの体験してきた壮絶な過去。

クライマックス・バトルの更にクライマックスに過去回想を挟んで、主人公たちの哀しみと怒りを増幅させる手法を始めたのは誰なのかしら?

今となっては『ワンピース』のイメージが大変強いですけど、元祖は誰なんだろうか。

という感じで、エピソード完結は次巻に持ち越し。

ピンチの地球を救うこともさることながら、バモラの笑顔を取り戻せ!!

次巻! オカルン!! 大・復・活!!! してくれ!!!!

『ダンダダン』12巻より(龍幸伸/集英社)

という熱い展開で、また次巻。

 

aqm.hatenablog.jp

akibablog.blog.jp