2人しかいない将棋部の、おさげデコ部長・八乙女うるし(高2♀)と、好き丸出しのくせに頑として認めない無表情部員・田中歩(高1♂)の、告白前の高校生男女が好き丸出しで部室で将棋指しながら甘酸っぱくイチャイチャしてる、可愛いは正義のショートラブコメ。
歩は一応、将棋でうるしに勝ったら告白しようと思ってるみたいです。
マスターランクの絵力(えぢから)とシンプルで力強いセリフ力(せりふぢから)を活かした、ラブコメの王道、正攻法。
日常ラブコメですけど時間が流れる系で、うるしが3年生に、歩が2年生に。
更に時間が流れて、うるしの大学受験の合格発表、そして卒業。
うるしに平手(ハンデなし)で勝ったら告白するつもりの歩の棋力の成長は「間に合う」のか。
今巻で完結。
ショートラブコメの王道&王道の積み重ねでやってきたこれまでの16冊を裏切らない、ド王道の最終巻。
短さ、軽さ、赤面したうるしのキュートさを全面に押し出して始まって続けてきた読み味そのままに、この漫画らしいサラッとした読み味に、でも万感を込めたハッピーエンド。
1巻時点で既に両想い丸出しの二人が「くっつくまで」を描いて17冊。
よーやるわー。
振り返ればずーっと似たような展開、それも歴代ラブコメで散々擦られてきた王道シチュを17冊もやってきた漫画の割りには、
「長ぇなー、そろそろ終わんないかなー」
「飽きたなー」
とか(少なくとも私には)一度も感じさせなかったのは、なんだったんでしょうね。
絵が可愛い、うるしが可愛い、というのはもちろんあるんですけど、なんかこう、古今東西のあらゆるラブコメの王道シチュの完成形を、最新の筆致でリメイクするぞ!みたいな気合いが、クレバーなマラソンランナーのような淡々としたペースの裏に見え隠れしていたように感じます。
最終巻でもペースを乱さず、最後の最後の直線でだけ僅かにスパートをかけて。
『からかい上手の高木さん』のヒットで既に著名だった作者の、本作の1巻が出たのはついこの間のような気がしていましたが2019年7月のことで、既に約4年半も経っていました。
作者の山本崇一郎は並行して連載していた『からかい上手の高木さん』、『くノ一ツバキの胸の内』、そして本作『それでも歩は寄せてくる』の3作すべてを今年2023年に完結、連載終了させました。
『からかい上手の高木さん』の最終巻も年明けに1月に出ます。
何か期するところがあって、新作を用意しているようにも見えますし、充電期間に入るようにも、あるいは漫画家を引退してしまうかのようにも見えます。
知らないし、わかりませんが、美少女画も抑制的なペース配分も磨き上げられた作者の次回作を、楽しみにしないわけにはいきません。
まあちょっと働きすぎだったので、しばらくのんびりされて英気を養っていただきたいと余計なお世話ながら思ってしまいますが。
最初から最後まで、うるしが最高に可愛かった漫画でした。
うるししか勝たん!(負けた
aqm.hatenablog.jp
aqm.hatenablog.jp
akibablog.blog.jp