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#僕の心のヤバイやつ 10巻 評論(ネタバレ注意)

『みつどもえ』の作者の現作。

ラブコメ漫画は数あれど、WEB連載で既読にも関わらず新刊が一番楽しみな作品。

TVアニメの2期放映が

bokuyaba-anime.com

ちょうど終わったタイミングでの新刊。

『フリーレン』もそうだし、『薬屋のひとりごと』もそうなんですけど、

frieren-anime.jp

kusuriyanohitorigoto.jp

近年は1クール(全12〜13話)のアニメ作品が多い中、2クールもやられると、単純に接触時間の長さで愛着が湧いてしまって、その分「ロス」も感じってしまって、そら

「さ・ん・き!(3クール目!) さ・ん・き!(3クール目!)」

ってなりますわな、という。

『僕ヤバ』の2期も絵も演出も演技も音楽も、良かったねえ。ジムでエアロバイク漕ぎながらもう一周観よ。

エピソード進行的に、アニメ2クールで原作8巻分まで消化してしまったので、10巻が出たばかりの現在からすると3クール目は当分おあずけかな。

ということで。

『僕の心のヤバイやつ』10巻より(桜井のりお/秋田書店)

主人公は、雑誌の専属モデルもこなす陽キャ美少女・山田、を殺す妄想をする中二病で陰キャでぼっちな男子中学生・市川。

図書館で偶然見かけた彼女は、一人でおにぎりを頬張りながらゴリラのような鼻歌を歌う、意外と割りと残念な感じだった…

コメディの皮をかぶせた、エロで独りよがりで優しい中学生の、初恋の繊細な機微の描写。

『僕の心のヤバイやつ』10巻より(桜井のりお/秋田書店)

8巻かかって前々巻でお付き合い開始、「未満恋愛ラブコメ」あらため「おつきあいラブコメ」に入って2冊目の10巻。

今巻は中3の夏休み、難関校の受験を決意したイッチと萌子の受験勉強合宿も兼ねて、山田のモデル先輩のニコちゃんの鎌倉の別荘での仲良し女子4人組+イッチの5人で海の別荘編。

『僕の心のヤバイやつ』10巻より(桜井のりお/秋田書店)

定番の「別荘貸してくれるお金持ちキャラ」提供の別荘を舞台に、美少女もの・ラブコメもの定番の「海回」「水着回」ながら、擬似ハーレム構成にコンドーム持ち込み疑惑、「輩(やから)」の乱入など、『僕ヤバ』らしい一波乱・二波乱・三波乱の楽しい巻ですが、ハイライトはやっぱり本作では割りと珍しい、山田と萌子の大喧嘩でしょう。

連載のとき「おっ」って思って書いた記事がプチバズったので、同じことを2回書くのもなんなので、よければ詳しくはそちらを。

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サブヒロインとして萌子が人気で、自分も萌子好きですが、以前から自分は

「彼女にするならにゃあ派」

なので、今巻はにゃあが影のMVPと言っていいぐらい、どこか不器用にアタフタと冷や汗かきながら、あちこちに細かい気遣いしている姿がとても可愛かったので、よかったです。

『僕の心のヤバイやつ』10巻より(桜井のりお/秋田書店)

4人組の中で口数は少ないけどバランサーで、

「小林が山田のフォローに行ったから、自分は萌子を」

みたいにバランスを取りつつ、その時その時で一番傷ついてる子・一番弱ってる子・一番独りになりそうな子に寄り添うんですよね、この子。

必要であれば直球で切り込んだり大声出したりもするし、必要であれば変化球で話逸らしたり誤魔化したり嘘ついたりもする、という。

にゃあみたいな子、いいなあ。

そして作品トータルとしてはまだまだ途中ながら、作者が作品に込めてるメインテーマが、よりによって酔っ払いの輩(やから)の口から語られてしまいましたね、というw

『僕の心のヤバイやつ』10巻より(桜井のりお/秋田書店)

今回、少々物議を醸しながら「心の痛み」の蓋をまた少し開けてしまいましたが、最終的にどこまでの「心の痛み」を描くつもりなのかなあ、とちょっと戦々恐々とはしてしまいます。

安達哲作品のレベルまで言っちゃったらどうしよう……

あと、ニコちゃんの別荘での輩(やから)どもの傍若無人な振る舞いについて、彼らを連れてきたおねえの株がちょっと(ネット世論的に)下がってたんですが、

『僕の心のヤバイやつ』10巻より(桜井のりお/秋田書店)

おまけ漫画でフォローが入りました。

さすがおねえ!というのと、ニコちゃんは売れっ子モデルで人気芸能人なのに

「困ってるところが可愛い」

「市川姉弟に懐いてて可愛い」

という、困ったキャラにw

良いラブコメは、魅力的な脇役それぞれ一人一人を主人公にした物語を読んでみたくなっちゃって、目移りしてしまいますね。

群像劇ってわけでもなく、あくまで主役2人のフォーカスしつつも、脇役の細かい動きやその背景の心情にもしっかり光を当てる、ってのがまた。

 

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