「芽が出て…頑張って…ふくらませて…けど、待っても待っても、咲かねんだわ。」
「これはオレのせいじゃなく…ジャズの限界なんだと…そして固くとざして…枯れた」
「とてつもなく小さい芽だし、時々しか咲かないが、咲いてんだ。
お前はハナっから咲いてんだ」
高校を卒業、上京する4巻まで。
「紙から音出ないって…知ってる?」(1巻のあとがき)
紙の上でどう音楽と才能を描写するか、音楽を題材にした漫画は昔から数多くありますが、音楽描写の現在のスタンダードを確立したのは上條淳士の「TO-Y」だとされます。
聴こえない音は読者の想像に委ねて、演奏してる姿を描く、一緒に演奏している人間のリアクションを描く、観客のリアクションを描く、世間の評価を描く。
上條はもう一つ、「才能を見送る人間」を描きました。奇しくも映画「アマデウス」が日本で公開された年のことでした。
4巻を読んでなんか思い出しました。
「お父さんとでっかい兄ちゃんは、ビックリして、ナゼかうれしそうでした。
彩花はちっとも楽しくありませんでした。」
「兄ちゃんの演奏を聴いて、彩花はハッキリ分かりました。
もう、帰ってこないんだって。」
「兄ちゃんはもう帰ってこないんだ。」
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