

「この時の俺は二人の関係をまだ楽観的に捉えていた
このまま3年経って彼女が高校を卒業したら
堂々と付き合えるんじゃないか…
なんてことを考えていたんだ」
モノローグがもう死亡フラグやんけ。
1年前に妻に先立たれ、高校生の娘は登校拒否で引きこもりに、会社では昇進を控えるものの係長として四六時中張り詰めて過ごしている市川晃介(アラフォー)。
一時の安らぎを求めて通う裏通りの喫茶店に新しく入った看板娘を困った客から助けた後日、保護者面談で娘の高校を訪れた市川は、看板娘に再会する。彼女は如月古都、娘の同級生だった。
精神的に余裕がない状況で、あまりにも都合よく急速に距離を縮めてくる彼女に溺れていく主人公。
登校拒否の娘を抱える主人公についでヒロインの家庭環境が提示されまして、父親の存在は描かれず、母親はサイコパス気味の毒親でした。
ヒロインが「ラブプラス」の寧々さんと「魔性の潮」を足しっぱなしに、清楚な色香と包容力を重ねて最後にルナティックを混ぜてコーティングしました的な。
主人公が妻に先立たれていることもありいわゆる「不倫」でこそないですが、未成年かつ娘の友達であるヒロインと男女の仲に向かって流されていく、スキャンダラスで背徳的で官能的、「ここではないどこか」への逃避願望というか「誰かに攫っていって欲しい」願望を抱えた二人の、どこか70〜80年代な香りとバブみが漂う危ないアバンチュール・ホラー。
インモラルな話題作で問題作ですが、真似したくないながらどこか羨ましく、下衆な野次馬根性も含めてちょっと目が離せない。
ただ、だいぶ余裕がない状況が描かれ「大人としてあるべき姿」を期待するべくもない漫画の主人公を「破滅型だなあ」と思うのは割りと簡単なんですが、我が身を振り返って大人として、親に精神的虐待を受けてSOSを発して優しくしてくれる大人に寄りかかりたがっている「(おそらく自らのファザコンと性愛の区別がついていない)救済されるべき愛情に飢えた子ども」である彼女に対して、自分だったら何をしてやれるかを真面目に考えてみると、当然簡単に答えが出る話でもないですが「SOSを受信する仲になる前に距離を置く」が最適解なのも寂しい話ではありますね。果たして「程度がひどければ児童相談所に相談して終わり」で済む話なんかしらね。
苦境にある美少女を恋愛感情込みで救出するというモチーフ自体は漫画に限らずフィクションの定番ですし、漫画であるだけに無謬ならざる登場人物の錯誤によって起こるトラブルで話を回す必要があるわけなんですが、リアルに寄せた話なだけに少々考え込んでしまいますね。
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