「卒業したらちゃんと家出て自立するから」
「うん おーえんしてるよー」
「嘘でしょ すごい棒読み」
「ほんとほんと …でもね志乃ちゃん
焦んなくていいからね 志乃ちゃんには私がいるんだから…
自立しなくてもいいよ」
幼い頃に両親を、半年前に唯一の肉親だった兄を亡くし人への甘え方を知らない女の子・志乃が、新婚だった兄嫁・希と2人、家族を失った者同士でぎこちなく姉妹になろうとしながら一緒に暮らす話。
百合漫画だけを期待して読んでいると、1巻時点で既に不在だったこともあって亡くなった志乃の兄がまるでヒロイン2人が一緒に暮らすための舞台装置だったかのように、彼が死んでしまったことや残された2人の心に開いてる穴を忘れてしまいがちになるんですけど、巻を重ねるごとに忘れるどころか彼の不在がより重くクローズアップされて、心に開いた穴が他のものでは塞がらない様が生々しい。
百合!と思った次の瞬間に重たい回想が…と思ったらまた百合!という展開をミルフィーユのように重ねて、百合な描写も確かにあってそれに釣られてこっちも読んでんですけど、作者が本当に読ませたいテーマは本当はもっと別のところにあるんだろうなと、と思ったり。
aqm.hatenablog.jp