#AQM

あ、今日読んだ漫画

#マンガに、編集って必要ですか? 3巻 【完】 評論(ネタバレ注意)

「マンガをつくるのには途方もない時間がかかりそれを読むのは一瞬
 しかし その一瞬を何十万何百万という読者からもらっているのだとすれば
 この1ページはどれだけの人生をもらっていることになるのだろう」

デビュー8年、ヒット作に恵まれない中堅漫画家・佐木(45)は、ファッション誌から異動して半年のキラキラ系女子で打合せ時の雑談が長い新米担当編集・坂本(24)に、空回りとソリの合わなさを感じていた。

連載の打ち切りを経て、佐木はようやく漫画へのわかりにくい坂本の情熱に気づき、初めて本音で話し次回作への打合せをする。しかしその日、坂本は失踪した…

という1巻の終わりを経て、あれから2年。編集長から語られた坂本の過去と失踪の経緯、2年ぶりの再会、そして。

今巻で完結。

こういうタイトルの漫画なんで、答えのない、あるいは答えの決まってる問いについて、この作者なりの何らかの答えが提示されるのだろうかと期待して1巻から読んできたんですけど、結局ダイレクトに答えが描かれることはありませんでした。

昨今の漫画にまつわる出版事情を散りばめた小品にチャーミングなヒロインを据えただけの作品が雰囲気エンドで終わった、とも言えますが、にも関わらず、自分はこの作品が大好きでしたし、モノローグで語られたハッピーエンドともバッドエンドとも言えない「その後」は胸にくるというか心に残るものがありました。自分はこの主人公2人が大好きでした。

テーマに対して直答しない雰囲気エンドである代わりに今現在の時代を切り取って観せるやり方や、その時代の中でもがくいろんな人間の心象や主人公たちがたどり着いた境地を描写する手法が似ていて、映画で例えると「就職戦線異状なし」をちょっと思い出しました。有名ながら必ずしも高く評価されてる作品ではないですが自分はアレが大好きで、これまで何回も定期的に観てるんですけど、この漫画もこの先何回も読み返していくんだろうなと思います。

本当はもっと読みたかったけどね。

ただただ漫画に対して作品に対して誠実でありたい、というだけの素朴で強固なメッセージ。

次回作も楽しみにお待ちしています。お疲れさまでした。

 

マンガに、編集って必要ですか? 3巻(完): バンチコミックス

マンガに、編集って必要ですか? 3巻(完): バンチコミックス

  • 作者:青木U平
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/02/07
  • メディア: Kindle版

 

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