「…あら?あなたは確か…」
「…え…あ…あ…あ…あの…
い…市川です…先日娘さんがうちに遊びにいらした時に
ご挨拶した…あの…その…」
「…ああ 先日は古都がお世話になりました
こんな所でお会いするなんて…
お仕事はこの辺りなんですか?」
きゃー怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。いや自業自得なんですけど。
表紙が可憐かつ爽やかで完全に表紙詐欺な気がしないでもないですけども。
1年前に妻に先立たれ、高校生の娘は登校拒否で引きこもりに、会社では昇進を控えるものの係長として四六時中張り詰めて過ごしている市川晃介(アラフォー)。
一時の安らぎを求めて通う裏通りの喫茶店に新しく入った看板娘を困った客から助けた後日、保護者面談で娘の高校を訪れた市川は、看板娘に再会する。彼女は如月古都、娘の同級生だった。
精神的に余裕がない状況で、あまりにも都合よく急速に距離を縮めてくる彼女に溺れていく主人公。
未成年かつ娘の友達であるヒロインと男女の仲に向かって流されていく、スキャンダラスで背徳的で官能的、「ここではないどこか」への逃避願望というか「誰かに攫っていって欲しい」願望を抱えた二人の、どこか70〜80年代な香りとバブみが漂う危ないアバンチュール・スリラー。
前巻末の修羅場が今巻頭で爆発したものの比較的小規模で、主人公がヒロインにヒキ気味になっちゃったことでもあるし、「予告編効果」的なものの賞味期限も終わって峠を越したかしらね、と思ってたんですけど、今巻また地味ながら谷あり山ありありまして、巻末にズーンときましたねこれ。
どうあっても主人公が破滅していく様を持ち上げて落としながらじっくりねっとり描いていきたい意向の模様。
次巻、「怪文書」。きゃー怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
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