
「それは 初めて見るものだった
これは 私とその見た事のない何かとの出会い
私と おじさんとの出会い
私の名は 三條 一里
これは本当の私との出会いの旅
その始まりであった」
以前の記事のブコメで、 id:HECTIC193 さん、 id:DigitalGohst さん、 id:u_eichi さん、 id:uunfo さんが推してらっしゃったので。
最初にこの作品についてブコメされた id:HECTIC193 さんに至っては30スターもついて人気ブコメの実質トップだった、というブクマカたちからの評価が非常に高い作品。
先にAmazonで1巻のレビューを読んだんですが、皆さん上手いことネタバレしないようにレビューされてて感心したんですが、口を揃えて「1巻と2巻は同時発売だから、その意図を汲んで必ず2冊まとめて読め!1巻で読むのやめるぐらいなら最初から読むな!」と書いておられたので、それに従ってとりあえず1〜2巻を買いました。
ブラジルの武術・カポエイラ(カポエラ)がテーマの作品。自分の知識レベルは「『修羅の門』でみたことあるー」ぐらいです。ブラジルの武術で、両手を鎖で繋がれた奴隷が足技(蹴り)を中心に戦ったことが発祥、低い位置から頭部を狙った蹴りを放って逆立ちのように見えることもあるやつですよね。飛田が言ってた。
女子中学生・三條一里は幼少期の奇妙な記憶を抱えたまま、過保護というより拘束がキツく毒親気味な両親と暮らしていた。
部活もさせてもらえない生活に鬱屈していた一里は、ある日コンビニ強盗の現場に遭遇、眼前にナイフを突きつけられる。彼女の危機を救ったのは、いつも公園で見かけるレゲエなドレッドヘアのホームレスのおじさん。コンビニ強盗を撃退する、その奇妙な体捌きと蹴りに一里は一目で心を奪われる。
彼女がカポエイラと出会うのと時を前後して、自身と両親をめぐる秘密、もう一つの運命が彼女に訪れる…
1巻序盤の初見の感想は「あー失敗したー」という感じ。
「昴」みたいに鬱屈した少女が人生を賭けられる競技に出会って殻を破って羽ばたいていく系の作品に見えたんですが、上記の通り女子中学生がヒロインの作品ですが、「昴」と違ってヒロインの作画というか顔が、自分が美しく思うバランス感覚と著しくかけ離れていて、可愛い可愛くない以前の問題で、なんか気持ち悪い。
あと毒親に子どもが虐げられる話、暗くて景気が悪くて心が痛むので基本的に苦手です。
でも2巻まで買っちまったし我慢して読むかー、って2巻まで読み終わったら、すごいねこの漫画w 面白くてびっくりするわ。
要するに2巻までがプロローグというか実質「第一話」みたいなもので、「競技と自己実現、毒親からの脱出」の物語に見えた序盤の初見の印象とまったく違う物語の顔が、まるで水中に潜んでいたモノが浮上してくるように、立ち上がってきます。全然違う漫画じゃねえかwww
競技と自己実現じゃなくて、生き残りを賭けた純然たる闘争の話でした。ちょっとJOJO4部っぽさある。毒親の話でもなかったわ。
これ週刊連載でやってたのすごいなー、「まどか☆マギカ」や「けものフレンズ」を名作の序盤と知らずに第2話で切っちゃったわ、みたいな読者が大量発生したんじゃないかなコレ。
こっちの見る目が変わったのか、意図的にそういう風に描き分けたのか、気がついたら気持ち悪かったヒロインの顔が全然平気というか、むしろ強い意志のこもった美人に見えてくるもんね。不思議!
ヒロインの運命以外に、カポエイラとブラジルをめぐる歴史的・文化的な背景に多くのページを割いて、日本の多くの読者にとっての未知の文化の窓口になる格闘技漫画、という意味では、中国武術の窓を開いた往年の名作「拳児」を彷彿とさせます。伝説のカポエイリスタ、ビゾウロ・マンガンガも八極拳の伝説的な達人・李書文の描かれ方に似てますよね。
ただ「司馬史観」的とでもいうか、読者側にカポエイラにまつわる情報がなさすぎて、この漫画に描かれている事が本当かどうかわからず、この作品で得た知識を丸飲みというか依存してしまう状況はあまり健全ではないかな、という気もします。
昔、大学で八極拳やってた友人がいたんですけど、「拳児」、あと「バーチャファイター」の鈴木裕の八極拳に対する解釈について「ちょいちょい間違ってんだよねアレ…」とこぼしていたのを思い出します。自分からしたら、その友人が言ってることが本当かどうかもわかんなかったんですよね。
カポエイラをめぐる文化にちょっと興味が湧いたので、この作品の続きはもちろん、ものの本か動画を少し漁ってみようかな。この漫画を読む限り音楽や舞踏、あと「自由」を求めることと強烈に結びついた格闘技に見え、それがそのままこの作品のテーマになっているように思えます。
続きが気になる引力という意味では全盛期の「ザ・ファブル」を思い出す作品。既刊は今日発売の新刊含めて8巻までかな。近いうちにイッキに読んでしまおう。
実写化の声も聞こえてきそうですけど、こなせる女優さんが見つからないだろうなー。若い頃の水野美紀ならワンチャン、と思うんですけど。あと10年ほど前に「ハイキック・ガール!」って映画あったね。まあ空手とカポエイラではまた全然違うけど。
ああ、あと言い忘れるとこだった。
1巻と2巻は同時発売だから、その意図を汲んで必ず2冊まとめて読め!1巻で読むのやめるぐらいなら最初から読むな!
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(選書参考)
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