「あこがれも けがれも 喜びも 痛みも
私は捨ててしまった
君は拾い 宿してゆけ
拾うものすべてが 君の価値だ」
んなぁ…
可愛らしいキャラ、メガネ少女のリコとメカ少年のレグが、作者の業を叩きつけたようなエグくてグロい目に遭いながら「アビス」と呼ばれる大地の大穴を潜る冒険もの。
冒険の果てにたどり着いた「成れ果て村」編、その成り立ちに関わる前巻一冊をかけた回想から視点が現在時間に戻ってきて、再び話の中心がリコ、レグ、ナナチの主人公たちに。
成れ果て村のカタストロフを前に語られる、ナナチの決意、レグとファプタの消えてしまった思い出、デビルマン原作の終盤みたいになっちゃったファプタ、立ち上がって鉄腕アトムなレグ。
可愛らしいキャラデザと凄惨な展開や描写とのギャップのグロテスクさは相変わらず、作者の性的嗜好や性癖というより、もはや業。
「生き地獄の中の一筋の光」を通じて生命讃歌を描く手法を採る作品は少なくないですが、画力も相まってこの作品における生命のかなしさ、闇の昏さは冴え冴えとしていますね。
次巻のクライマックスに向けて話を収束していく過程ながら、昏さと引き換えに三賢の語りや優しい思い出を通して作者がレグやナナチに託すものが確かに感じられる巻。
今巻、レグやナナチに比べて見せ場の少なかったリコが、エピソード終幕に向けてのキーマンでしょうか?
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