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#葬送のフリーレン 2巻 評論(ネタバレ注意)

80年前、魔王を打ち倒し平和をもたらした伝説のパーティ。

勇者ヒンメル。戦士アイゼン。僧侶ハイター。魔法使いフリーレン。

王都に凱旋した彼らには、世界を救った功績に対する歓待と、その後の長く平和な人生が待っていた。

80年が経ち、勇者も僧侶も寿命で世を去り、戦士(ドワーフ?)も老いた中、長命種エルフの魔法使いフリーレンだけがひとり変わることなく魔法を求めて彷徨いながら、かつての仲間の死と追憶に触れていく異色のファンタジーもの。

ヒロインからしたら一瞬にすぎない間しか同じ時間を過ごせない、エルフと人間の寿命と時間感覚のギャップの哀愁を淡々と。

1巻の印象で、物哀しい、吹けば消えるような儚い追憶の物語というイメージがあったんですが、2巻は1巻どおり基本コメディの物静かな進行にときどき追憶に思いを馳せる展開ながら、思いの他「現役」というか、「伝説のパーティの生き残り」の設定を活かした「なろう」的なチート胸熱もきっちり使った展開で少々意外でした。

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「葬送のフリーレン」2巻より(山田鐘人/アベツカサ/小学館)

思ってたのとまた違った面白さというか。「最初っから強いポップ」みたいな新キャラも良いです。

魔王城にもあっさり着いてしまうんだろうと思ってたんですけど、たぶんそれは「フリーレン主観」ではそうなんですけど、今巻は「フェルン主観」「シュタルク主観」に切り替わってるせいなのか。

最終的には今起こっていることも時間の彼方に過ぎ去って、今を「フェルン主観」で描けば描くほど将来「フリーレン主観」で回収したときに効いてしまうのがこの作品の建て付けの強みなのか。

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「葬送のフリーレン」2巻より(山田鐘人/アベツカサ/小学館)

子どもの頃に好きだった漫画の作者が最近亡くなって色々思い出したせいか、現役の漫画のなんでもないコメディシーンすらなんだか泣けてきてしまう秋の夜長。

 

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