年末年始で新刊が発売されないので、過去に発表された名作を読み返します。今日は全39巻の「GS美神」の、29巻〜35巻の7冊に渡る長編エピソード、「アシュタロス編」です。
実はあんまり書くことがない。
これに関しては「ほむぱげ」の時代、ほぼリアルタイムと言っていい1998年に非常に熱量の高い詳細な評論が書かれていて、語り尽くされていて、補筆したいことが何もない。
tsphinx.stars.ne.jp
というか、自分の感想がこの記事に強く影響を受けて、どうしても引っ張られてしまうのよね。
20年以上前の作品と記事だけど完全に作品を読んだ人向けの記事で、がっつりネタバレしているので読むにあたって一応注意してけれ。
このホームページの筆者はその後、「はてなダイアリー」ユーザになったらしく、この記事は「はてなダイアリー」に2011年に転記・整形され、その後「はてなブログ」への統合によって現在は「はてなブログ」の記事にもなっている。
ldmanken.hatenadiary.org
内容は一緒ですが「ほむぱげ」よりもレイアウトがモダンなのでこっちの方が読みやすいと思います。
1,000年を生きる『葬送のフリーレン』のヒロインと真逆に、彼女の寿命は最初から1年しかなかった。
そのわずかな寿命を燃やして恋をしたヒロイン。
少年漫画史に残る美しい別離のシーン。
締まらないことに、このあと作者は彼女を生き返らせたり、また死なせたりする。
計算高い作風の名手・椎名高志が、筆が滑って生み出したヒロインと、彼女に対する自分とファンの熱量に振り回されて実に無様に逡巡し七転八倒する、「放送事故」ならぬ「連載事故」のような展開。作者の計算通りに動いてくれない生き物のような連載漫画のライブ感。
命を燃やして恋に生きたヒロインと、なんとか彼女を生き残らせる道はないかと主人公の横島と共にのたうち回った作者のこの無様さを、自分はとても愛おしく思った。
完成度という点ではまったく褒められたものではないのに、こんなにも心を惹きつけられてしまう。
またこんな風に作者の筆が滑って制御不能に陥って、核融合のようにおかしな熱を発する漫画を読みたい、とずっと思っているけど、なかなか巡り合う機会がない。
この記事では「アシュタロス編」だけを取り上げていますが、「GS美神 極楽大作戦!!」は、もちろん作品全巻通じて名作です。