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#Papa told me Cocohana ver.9 ~花冠をあげる~ 評論(ネタバレ注意)

日比谷の高層マンションに、作家でイケメンなお父さんと二人暮らしの小学生・知世ちゃんのちょっと詩的でたまにメルヘンな単話の日常もの。1987年連載開始なので「ガラスの仮面」とまではいかなくても結構な長寿シリーズ。

若くに亡くした奥さんを今なお愛しながら忘れ形見の知世を大切に育てるお父さんがとてもイケメン。こういう大人になりたかった。

当初は父子家庭、独身、離婚、働く女性、子どもの居ない夫婦などのテーマで、 理不尽な世間に知世ちゃんが喧嘩を買う、という怒りを原動力にした、はてなのホッテントリみたいなちょっと尖った話が多かったけど、前のシリーズの終盤あたりでメンタル系のインナースペースの話が多くなった後、 特に雑誌移籍後は話も知世ちゃんの性格も顔も丸くなったなあ、という印象。

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「Papa told me Cocohana ver.9 ~花冠をあげる~ Papa told me Cocohana version」より(榛野なな恵/集英社)

今巻は珍しく、久しぶりに「心ない言葉を吐く大人」が登場してそのカウンター、という話がありました。最近珍しいよね。

それよっか詩的でファンシーでちょっとファンタジーなエピソードが相変わらず多めです。エピソードの中心も、作品初期は的場親子に焦点が当たったものが多かったけど、ここ最近は通りすがりの脇役さんがメインの話が大半。長期連載の知恵とでもいうか。

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「Papa told me Cocohana ver.9 ~花冠をあげる~ Papa told me Cocohana version」より(榛野なな恵/集英社)

そういえば今巻もクリスマスの話がありましたが、この作品でクリスマスのエピソードは何度目だろうかw すっかりサザエさん時空な感じに。

前ほどキリッとした感じがないというか、葛藤の描写は軽めに、フワッとポエムで締める作風に変わったように思います。

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「Papa told me Cocohana ver.9 ~花冠をあげる~ Papa told me Cocohana version」より(榛野なな恵/集英社)

以前のように再読するのにちょっとした心の準備が必要な作風ではなくなって、印象に残るものではない反面、掲載誌の割りに「子ども向け絵本のよう」とでもいうか、その割りに大人のマインドで描かれていて、これはこれで別の趣が。

 

 

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