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#声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている 3巻 評論(ネタバレ注意)

転校生の少女・真白 音は失声症、声を出すことができない。筆談で会話する彼女に最初こそ話しかけてきたクラスメイトたちも、2週間もすると面倒がって彼女との会話を避けるようになった。

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『声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている』3巻より(矢村いち/秋田書店)

そんな落ち込む彼女にぶっきらぼうに話しかけてきたのはツインテでぶっきらぼうで無愛想なクラスメイト・心崎菊乃。菊乃は他人の心が読めるテレパス、超能力者だった。

という、喋れない少女と心が読める少女の友情を描いたファンタジー日常もの。「喋れない」と「心が読める」の、重くて暗くなりがちなテーマを掛け合わせたら、こんなに優しく楽しく可愛らしい漫画に。

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『声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている』3巻より(矢村いち/秋田書店)

1巻というか初期設定の時点でどう転んでも優しい話なので「設定なり」と言ったら創作者に対して大変失礼ですけど、日常回を回すだけで自然と優しい話になります。

今巻は体育祭編。音の目標は体育祭を通じてクラスメイトとの距離を縮めること。だが音は引っ込み思案の上に絶望的な運動音痴だった…

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『声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている』3巻より(矢村いち/秋田書店)

引っ込み思案でぼっちのヒロインが友だち作ろう系の漫画はこの作品以外にもちょいちょいあり、その中でも割りと重めな設定ですが、設定から受ける印象からすると意外なぐらいカジュアルで軽い展開。最近の「ぼっちもの」全般に共通してるかもしれない。

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やや特殊でSFな設定の組み合わせの妙もありますけど、作者も登場人物も「人間の悪意」に比較的鈍感というか、悪意の描写に力点を置いてない性善説展開なので、テーマの割りにストレスがなく、ぼのぼのしてます。

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『声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている』3巻より(矢村いち/秋田書店)

「人間の本質を鋭く掘り下げてうんたらかんたら」的なことを求める向きには物足りないかもしれず展開もベタですが、いわゆる「尊い」系で癒し系で、心が洗われるようで、これはこれで良いものです。

 

 

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