「攻殻機動隊」は士郎正宗の近未来SF公安警察漫画。派生して押井守監督の劇場版がグローバルでブレイクしたり、アニメシリーズ「Stand Alone Conplex(SAC)」シリーズが大ヒットしたり、リブートしたり、スピンオフ漫画がたくさん出たりと、ガンダムとまではいかないまでも一つのジャンル化・産業化してる側面があります。
派生作品が多い分、作品間には矛盾する設定も多く、基本的に「士郎正宗による原作漫画」「押井守の劇場版」「アニメ『SAC』シリーズ」「スピンオフ漫画」がすべてパラレルな世界観設定になっています。
今作は、士郎正宗による原作漫画「1.5」、草薙素子が公安9課を去った後の続編の、そのまた続編という位置付けの新シリーズで、士郎正宗の原作シリーズに比較的近い世界観。
とはいえ、SACシリーズの影響は感じられ、SACで人気が上昇したトグサとバトーが主人公っぽい扱い。
おなじみの荒巻、イシカワ、サイトー、パズ、ボーマに加え、「1.5」以来隊員のアズマ、今作から加入・霊能局からアラマキが引き抜いた紅一点のツナギが登場。
政治家の暗殺未遂事件と新興宗教団体、謎の最強兵士、沖縄の地元ヤクザと中国マフィアの抗争が徐々に一本の意図に収束していき、行方不明の草薙素子の影も見え隠れし、という2巻。
巻末の時間予告によると、次巻の3巻で一つのエピソードが完結する感じらしいです。1巻より面白くなってきたのでその続きがでそうなのはありがたい。ちょっと刊行の間隔が長いですけど。
素子の穴埋めのように配置されたヒロイン・ツナギの意外な過去が示され、公安9課のメンバーらしくなってきました。
霊能局出身のメンバーですが、士郎政宗の現作と比べて、SACなどではほとんど描写されなかった霊能局が比較的ぶ厚く描写されてて面白い。
描いてる人が違う分、テイストも違うので、原理主義的にこの作品を評価しない向きもあろうかとは思うんですけど、自分はとても楽しんでます。
メタァ!w
作話・作画・原作解釈がこの高いレベルで「攻殻」の新作が出ると言うのは貴重だし、ありがたい。ぜひ長期連載化して欲しい。
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