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#刷ったもんだ! 3巻 評論(ネタバレ注意)

元ヤンキーな青春を送り、SNSで漫画クラスタに入り浸る漫画好きの真白悠(♀)は中小企業の虹原印刷(株)に就職。

企画デザイン課に配属され、印刷物のデザイン、データ作成・出力、校正を担当。担当する仕事は選挙のチラシからエロ同人誌までなんでもあり。

という印刷会社のお仕事日常漫画。

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「刷ったもんだ!」3巻より(染谷みのる/講談社)

取材もしてんでしょうけど、1巻巻末の「Special Thanks」に「元勤め先の皆さま」とあり、作者が経験者なんですね。「NEW GAME!」と同じパターン。

同じ「モーニング」の、経験者による、新人女性職員が主人公のお仕事漫画ということでどうしても比較対象に「ハコヅメ」が頭に浮かんでしまうんですが、

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あれの同世代の後輩、というのは結構この作品にとって流川と同級生の清田のように、ずっとついて回る不幸なことかもしれないと思ったりする。

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「刷ったもんだ!」3巻より(染谷みのる/講談社)

題材が非日常の塊の警察官お仕事ものと比べて、印刷会社社員のお仕事ものですから、漫画のモチーフとして起こる事件の切迫度や作話との関連度が違うのは、どうしても。

どうすんのかな、と思ってたんですけど、清々しいほど正面突破で、「職人の世界」に足を突っ込みながら、地味な「印刷会社のお仕事」を巡るエピソードを重ねます。

こう、「地味だけど、知ってもらいたいし、絶対面白いはずだ!」という信念のようなものが感じられて良いです。

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「刷ったもんだ!」3巻より(染谷みのる/講談社)

視野を広げれば当然お仕事漫画は「ハコヅメ」だけではなく、もっと地味な仕事をテーマにした良作はたくさんあるわけで、むしろ読む方の視野狭窄に気をつけたいものです。

個人的な余談ですけど、最近読んだポンポさんの3巻に登場する映画監督・ジーンの仕事ぶりを見て軽くショックを受けまして

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「仕事ってなんだろう、働くってなんだろう、人生ってなんだろう」と思うところがあったんですけど、「刷ったもんだ!」を読んでると「映画だってジーン一人で作ってるわけじゃない」「それぞれの現場でプライドを持って良い仕事している膨大な集合が、モノを作って社会を作ってんだよな」と、あらためて社会科見学をした小学生のような感想を持ちました。

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「刷ったもんだ!」3巻より(染谷みのる/講談社)

更に個人的な余談ですけど、うちの死んだ親父が印刷会社の社員だったので、生まれた時から扶養されて大人になった恩があるので、印刷会社、応援してます。

 

 

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