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#ジーニアース 1巻 評論(ネタバレ注意)

「ハイスコアガール」などで著名な押切蓮介の新作はミュータント・バイオレンスもの。

現代日本。千人の1人の割合で突然変異遺伝子を持つ子どもが生まれ、彼らの一部は力に覚醒した。

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「ジーニアース」1巻より(押切蓮介/秋田書店)

ある者は国家権力に喧嘩を売り、ある者はいじめの常習者を粛清し、ある者は変異種を連帯させる組織を設立した。

社会の脅威として認知された彼らは、畏敬を込めて「ジーニアス」と呼ばれた。

という。

自分は「X-MEN」とか観てないですけど、基礎設定はああいうミュータント・バトルもの。「FSS」の騎士にも似ているし、似ている設定の作品はたくさんあると思います。

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「ジーニアース」1巻より(押切蓮介/秋田書店)

この作者の特徴として、「ハイスコアガール」のようなコメディ調の青春ラブコメを描く反面、「ミスミソウ」に代表される、まるでそれ自体が目的のような残酷で凄惨ないじめ・虐待が描写される暴力的な作品も描く、二面性を持つ作家です。

今回は「ミスミソウ」寄りで、自分はこの手の描写が胸糞悪すぎて大変苦手で、この作品もギリギリアウトだったんですけど、ちょっと頑張って読みました。

理不尽でウルトラ胸糞悪いですが、その反動で復讐のカタルシスはすさまじいものがあります。

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「ジーニアース」1巻より(押切蓮介/秋田書店)

ただ今のところ、能力に目覚めた「ジーニアス」には明確な目的が与えられておらず、彼らの一部は国家権力に喧嘩を売って大暴れした後に人海物量戦術で殲滅され、「社会の脅威」としての弾圧と差別の対象となり、残った「ジーニアス」たちは自衛のために連帯を始める…という、1巻は一旦はそこまで。

モノローグの趣旨としては、現人類を滅ぼして「ジーニアス」たちがより少数精鋭の地球の新たな霊長に君臨するのが筋なんかなと思いますけど、まだよーわからんね。

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「ジーニアース」1巻より(押切蓮介/秋田書店)

大多数の人類による迫害・弾圧・差別に対し圧倒的な暴力を以って戦う、という話になっていきそうで、カタルシスの源泉がどうも自身や身内が受けたリンチ・虐待・拷問に対する復讐になる建て付けっぽいので、苦手な人は気をつけましょう。

今巻で既に相当胸糞悪いいじめの描写があります。

たぶん、読者が「一番傷ついて欲しくない」と思っているキャラから優先的に理不尽に陰惨な目に遭うことになっていくんじゃないかと思います。「ジーニアス」の妹(一般人)とか。

自分も1巻はなんとか耐えられましたけど、続巻では早々に脱落するかもしれません。

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「ジーニアース」1巻より(押切蓮介/秋田書店)

オーソドックスながら、一見「無能力」に見える少年が渦の中心にいるなどすごく面白くなりそうだとは思うんですけど、こればっかりは面白い面白くないの問題ではなく、読ーめないんですよね、あんまキツいやつは。

 

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