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#銀河のカーテンコール 2巻 評論(ネタバレ注意)

妻を亡くし、70歳を迎え引退することにした庭師の親方・誠(せい)と、30歳を迎え同年代の婚約者との婚約を解消した図書館司書・眞(まこ)。

2人は居酒屋の隣の座敷でそれぞれ引退と結婚を祝われていたが、誠は引退の撤回を、眞は婚約の解消を、それぞれ周囲に言い出せずに「一巻の終わり」を迎えてしまう。

言い出せないまま不本意に祝われた主役同士、2軒目に飲みに行くことになったが…で始まる、年の差40歳の大人のラブロマンス。

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「銀河のカーテンコール」2巻より(北駒生/講談社)

自分が読んだ漫画だと「うさぎドロップ」すら越えて年の差記録更新かな。西炯子の『娚の一生』が印象に残ってますが、見返すと20歳も離れてるわけではなかったでした。

まあ年の差が大きければ偉いとか面白いとかいうものでもないですけど。

庭師のエピソードを通じた木・花・そして星を絡めて、年の差から当初は恋愛対象として相手を見ていなかった2人が、徐々に互いに惹かれあっていく機微を、繊細に抒情的に。

今作で初めて読む作家さんですが、たぶん女性じゃないかなと思います。過去作品もBE・LOVEレーベルだったり。

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「銀河のカーテンコール」2巻より(北駒生/講談社)

切り口というか美点がいろいろある作品で、縦軸になる誠と眞の恋愛関係(?)の他、ジェネレーションギャップと異世代間交流、庭師と図書館司書の価値観などいろんな見所が見えてきた2巻。

というか、眞が誠を少し気にしている程度で、恋愛ものとしてはまだ口火もついていないような感じです。特に歳の差ものでは男が女に性愛的な関心を払わない展開は、男性向け・女性向けを問わずよくあるんですけど。

どっちかというと自分の繊細な傷を隠して「頑固親父」の殻に篭って生きてきた老人の価値観が、眞に限らず若い世代との交流を経てひらけポンキッキしていく描写に重きが置かれます。

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「銀河のカーテンコール」2巻より(北駒生/講談社)

主人公2人以外にも、意外と良い奴だった眞の元・婚約者、その彼の元彼女(?)の作家、謎の無職青年など、キーマンになりそうな人物たちの伏線が置かれていて、誠と眞が主人公なのは間違い無いんですけど、はて2人のラブロマンスとして期待してていいものなのか、とちょっと思ったりはします。

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「銀河のカーテンコール」2巻より(北駒生/講談社)

それらのキーマンたちの輪に対して、やっぱり誠の年齢は少し浮いているので。主人公2人、互いに大事な存在として好影響を与え合いつつも、必ずしもくっつくことをゴールにした関係とは限らない感じ。

番外編の2人の様子などを見るととてもチャーミングで、

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「銀河のカーテンコール」2巻より(北駒生/講談社)

「くっついて幸せになって欲しいな」とは思うんですけどね。

 

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