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共感性羞恥でダンスを観ることすら苦手な新入生・小谷 花木(こたに かぼく♂)、通称「カボ」。
長身でバスケ部出身、吃音症(どもり)で言葉での自己表現が苦手。
他人に合わせて生きつつどこか窮屈さを感じている少年が、高校でダンスに夢中な少女とダンス部と出会う、ボーイ・ミーツ・ディスティニーなダンスもの。
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「ワンダンス」7巻より(珈琲/講談社)
ジャンルで言うと「ストリートダンス」でいいのかな?
初心者ながらバスケ経験者で運動神経は良好、長身なのでダンスも映えるという素質持ちの主人公が部活のレッスン、コンテスト、ダンスバトルを通じてダンサーとして開花していくオーソドックスな展開。
美少年・美少女がクールに踊りたくる、眼福な作品。
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「ワンダンス」7巻より(珈琲/講談社)
長いようで短いような高校対抗ダンスバトル編が今巻で終了。
個人戦決勝、一凛高校の(元)孤高のハウサー・伊折と、エリアのB-BOY第一人者・カベの対戦の行方は。
その他、団体戦、ダンス歴が不明瞭だった湾田の過去回想エピソードなど。
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「ワンダンス」7巻より(珈琲/講談社)
審査員で来ていたプロダンサー・アッセイが「本当に評価しているのは誰なのか」は、いかにも読者のミスリードを誘ってる感じですが、どうなんでしょね。
カボに対する屈折というかワンダとの扱いの差、「自分を殺しにくる」と脅威に感じているのか、才能に対する嫉妬なのか、発奮を促しているのか、それとも未だ「その他大勢」の一人扱いなのか。
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「ワンダンス」7巻より(珈琲/講談社)
誰のことをおっしゃっていますの〜? 気になりますわ〜。
表紙を見ても一目瞭然ですが、作者の絵の嗜好が変わりつつあるように感じます。
表紙とは逆に人物の顔の描写が淡白にというか、個人的には「可愛い」と思うツボから外れつつはあるんですが、メタモルフォーゼ・洗練の行く末が少々楽しみ。
画風の変化は主に、ストーリー上で競技シーンの比重が重くなるにつれてダンス描写に時間を割きたい、みたいな感じで重点が移っていっているように感じます。
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「ワンダンス」7巻より(珈琲/講談社)
絵面に共通する要素は多々あるものの、コンテンポラリーダンスを扱った『ムラサキ』が「踊る(人体を極限まで動かす)こと」を追求するのに対して、
aqm.hatenablog.jp
この作品はストリートダンスにおいて「音と一体になること」を強く訴求しています。
なんというか、どちらも「求道的」「志が高い」「夢を持っている」というよりは、もっと原始的でファナティックなもの、踊りたい、踊ることしか考えられない、上達していくことが楽しくて仕方がない、「夢中」という感じ。
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「ワンダンス」7巻より(珈琲/講談社)
登場人物がファナティックであると同時に、これを言わせるのは、この漫画自身のファナティックな宣言ですよね。
「大きく出た」というよりは、この作品を連載しながら作者が自身の「ダンス漫画描き」としての成長を実感して描きたいことが膨らんでいく高揚感が、読んでるこっちにまで伝染しそうです。
「音が視える漫画」という修羅道を追い求めていく作品が、また一つ。
銀河の歴史がまた1ページ。
aqm.hatenablog.jp