コンテンポラリーダンスに魅せられた小太りメガネおさげ少女・一条ムラサキ。
創作ダンス部を立ち上げようとするも人望がなく頓挫。多くのフォロワーを生む美術部の美少女・菫ソラのカリスマ性に嫉妬する。そんなソラのストーカー、翡翠翔之助は紫峰山神社の神凪にして天才ダンサーだった。
翔之助の才能に惚れ込んだムラサキは、2ヶ月で体重を72kgから47kgに落とす約束を果たし、彼をダンス部創設メンバーに引き込むことに成功する。
本気の翔之助のダンス、その凄み。しかしムラサキもまた、体を絞ったことによって秘めた才能が覚醒しつつあった…
今巻で一番衝撃だったのがコレです。
終わるんかーい!!
ダンス部に彼らを人の世に繋ぎ止めんとする3人目、音楽を提供する4人目の仲間が加わって、当面の目標は文化祭でのダンスの披露、敵か味方かよくわからない生徒会の登場と、少年漫画ならまさにこれから、というとこです。
ただこの漫画が10巻を超える長編になることを予想していたかというとそんなこともなく、自分はこの漫画があるべき姿というのが未だにわかっていません。
これまでの連載漫画には複数の型があり、打ち切りだったり、引き伸ばしだったり、あらかじめ人気に応じて構成が可変なように設計されていたり、あるいは作者が描きたいものだけを描き切って終わる漫画もあります。
この漫画は、最後に挙げた「作者が描きたいものだけを描き切って終わる漫画」がもっとも近いであろう、でなければ打ち切り(こんな漫画が大ヒットするわけがない)であろうと思うんですが、作者が描きたいものが未だに掴めません。
私の読解力不足かもしれず、あるいは作者の表現が稚拙なせいかもしれず、あるいはその両方かもしれませんが、なんかこう、「蟻が象の足をもって生き物と認識できないのではないか」と同じように、この作品が描きたいもののサイズを自分が測りかねている、というのが一番しっくり来ます。
4巻で描き切れることなの?と思う反面、巻数ではないだろうとも思います。これまでのたった3冊の間で、今巻中で表現されたように「体感時間が引き伸ばされている」感覚を読者に味わわせてきた漫画で、一枚の絵と一言のセリフで深さや広さを表現できる力があることが、この作者の真骨頂であるだろうなと思います。
フィクションの面白さというのは、自分の人生では味わえない体験を追体験し、考えもしなかったでろうことを考えさせられる点にあると思いますが、それを強く意識させられる漫画。
少なくとも自分はこれまでの人生で、「自分の意思で心臓を止められるかどうか」考えたことがなかったし、ダンス漫画でそれを考えるとは思っていなかった。
前述のとおり、本懐の最終巻なのか、打ち切りなのか 自分にはさっぱりわかりませんが、最後の一冊で何が語られ何が描かれるのか、楽しみに待ちたいと思います。
最後、理解不能などっかに飛んで行っちゃいそうな話ですけど、現世に対する錨の役割を持つキャラが登場したことで、なんとなく安心を感じてます。
aqm.hatenablog.jp