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#攻殻機動隊 THE HUMAN ALGORITHM 3巻 評論(ネタバレ注意)

「攻殻機動隊」は士郎正宗の近未来SF公安警察漫画。派生して押井守監督の劇場版がグローバルでブレイクしたり、アニメシリーズ「Stand Alone Conplex(SAC)」シリーズが大ヒットしたり、リブートしたり、スピンオフ漫画がたくさん出たりと、ガンダムとまではいかないまでも一つのジャンル化・産業化してる側面があります。

『攻殻機動隊 THE HUMAN ALGORITHM』3巻より(士郎政宗/吉本祐樹/藤咲淳一/講談社)

派生作品が多い分、作品間には矛盾する設定も多く、基本的に「士郎正宗による原作漫画」「押井守の劇場版」「アニメ『SAC』シリーズ」「スピンオフ漫画」がすべてパラレルな世界観設定になっています。

今作は、士郎正宗による原作漫画で草薙素子が公安9課を去った後の続編「1.5」の、そのまた続編という位置付けの新シリーズで、士郎正宗の原作シリーズに比較的近い世界観。

『攻殻機動隊 THE HUMAN ALGORITHM』3巻より(士郎政宗/吉本祐樹/藤咲淳一/講談社)

とはいえ、SACシリーズの影響は感じられ、SACで人気が上昇したトグサとバトーが主人公っぽい扱い。

おなじみの荒巻、イシカワ、サイトー、パズ、ボーマに加え、「1.5」以来隊員のアズマ、今作から加入・霊能局からアラマキが引き抜いた紅一点のツナギが登場。

政治家の暗殺未遂事件と新興宗教団体、謎の最強兵士、沖縄の地元ヤクザと中国マフィアの抗争が徐々に一本の意図に収束していき、行方不明の草薙素子の影も見え隠れし、というエピソード。

『攻殻機動隊 THE HUMAN ALGORITHM』3巻より(士郎政宗/吉本祐樹/藤咲淳一/講談社)

1巻以来のそのエピソードが今巻で完結。

『攻殻』は新作やスピンオフに対する審美眼の厳しい「うるさ方」のファンが多い作品で、自分もその一人のつもりですが、その自分をして「合格!」です。

陰鬱な前フリシーンが続きつつも、退屈させない展開と情報密度、見応えのある作画でここまで引っ張って、今巻は解決編ということで、公安9課らしいエピローグを含めて非常に満足度の高いエピソード完結。

今シリーズの新ヒロイン・ツナギも、特殊な能力、意外な過去、新入りながら9課のメンバーとの好相性で、草薙素子の不在を忘れさせる存在感を発揮。

『攻殻機動隊 THE HUMAN ALGORITHM』3巻より(士郎政宗/吉本祐樹/藤咲淳一/講談社)

1エピソードで連載終了じゃないといいなあ、と思いましたが、好評だったのか4巻も出るようで一安心。

世界観が出来上がっていて人気もあるタイトル、脚本と作画が分かれているとはいえ、本家に及ばずとも『攻殻』の名に恥じない新作、「よくやるよ」と呆れつつも新作を読める感謝の気持ちと、

一人でこれと同等以上の仕事をやっていた士郎政宗は、やっぱちょっとおかしいな、という。

『攻殻機動隊 THE HUMAN ALGORITHM』3巻より(士郎政宗/吉本祐樹/藤咲淳一/講談社)

面白かったし、この後にも期待。

 

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