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#じいさんばあさん若返る 5巻 評論(ネタバレ注意)

長年連れ添った津軽弁の農家の老夫婦・正蔵とイネは、ある夜目覚めると二人とも青年期のイケメンと美女の姿に、特に理由もなく若返っていた。

若返った二人に孫娘ははしゃいで甘え、息子の嫁はときめき、息子は動揺し、老人会はざわついたが、

「じいさんばあさん若返る」5巻より(新挑限/KADOKAWA)

60年近く連れ添った二人はそこまで動じることもなく、しかし少しずつ若返った身体でのかつての日常を取り戻していく。

という理不尽ファンタジーな日常コメディ。

出オチの一発ネタの割りに日常ネタで楽しく続いて5巻。

「じいさんばあさん若返る」5巻より(新挑限/KADOKAWA)

今巻は案内役の孫娘とその未満恋愛ラブコメ相手の少年を伴って、かねてから念願だった新婚旅行で東京〜熱海へ、旅行編。

孫世代との交流やジジババギャグを交えた楽しい道中記ながら、もう「思い残すこと」がなくなってしまう話でもあって、2人の残された時間に関して不穏な描写がちょいちょい挿入されます。

「じいさんばあさん若返る」5巻より(新挑限/KADOKAWA)

不穏といえば、ある意味1巻からずっと不穏な作品ではあるんですけど。

老境に入った2人に神様が突如、若さを与えたことは、2人にとって周囲の人間にとって果たしてどんな意味があるのか。

「じいさんばあさん若返る」5巻より(新挑限/KADOKAWA)

ここで言う「神様」は作者のことで「周囲の人間」には我々読者も含まれるんですが、いたずらに彼らの人生を弄んだ出オチの一発ネタであっても漫画であれば許されるところではあるんですが、この作者には「時間が流れ誰もが老いて死に近づいていく」普遍的なテーマについて、何か描きたいことがあるんじゃないかと、勝手に勘ぐっているんですが、果たしてどうでしょうか。

 

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