
サラリーマンがリストラ逆恨みで殺されて成仏の際に神に反抗した罰で、近代欧州っぽい異世界、WW1前のドイツそっくりな帝国の魔導師の素質持ちの女児に転生。
戦勝と栄達と安穏な後方勤務を夢見つつ、少佐の階級、エース・オブ・エース「白銀」「ラインの悪魔」の二つ名、第二〇三遊撃航空魔導大隊大隊長として、戦場の空を支配する主人公ターニャ・デグレチャフ11歳。あれ12歳になったっけ?

『幼女戦記』25巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)
『ベルばら』のオスカルみてえだな。
ならねえフラグにしか見えねえw
前巻で「砂漠の狐」をモチーフにした南方(擬アフリカ)大陸編が決着。
帝都ベルン(擬ベルリン)に凱旋するターニャたちを待っていたのは恩給と休暇ではなく、部下の昇進と新たな作戦だった。
その作戦とは帝国(擬ドイツ)東方に国境を接するルーシー連邦(擬ソビエト連邦)に対する偵察侵入。ターニャたちがルーシー連邦へ侵入を果たしたまさにその時、ルーシー連邦は帝国に対する宣戦を布告した…
北のレガドニア、西のフランソワ、南の南方大陸ときて、お次は東のルーシー連邦。
ちょっと地図を見てみましょう。
参照用に、現実の現在の地図はこんな感じ。

googleマップより
作中、2巻冒頭時点の地図です。

『幼女戦記』2巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)
第一次〜第二次の大戦時相当の地図ということもあり、ポーランド、チェコ、スロバキアに相当する地域が帝国領に。
ルーマニアに相当するダキア大公国も現在の作中では併呑済みなんでしたっけ?
こうして見るとゲームコントローラーの十字キーみたいに東西南北を他国に囲まれてんですね。
ということで帝国の十字キーの右、大国・ルーシー連邦。

『幼女戦記』25巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)
言わずもがなにソビエト連邦をモデルにした国家で、ラノベ原作で当然図ったわけでもないのに、現実でウクライナとロシアの間で戦争が始まったタイミングで、コミカライズがこのエピソードに入っちゃうという。
作者のなのか、ターニャのなのか、共産主義嫌悪が炸裂している巻。
設定的にちょっと面白いのが、共産主義国で宗教を否定しているせいで魔導士も否定している国なので、作中世界で各国軍に配備されている航空魔導部隊が、ルーシー連邦には存在しないんですね。

『幼女戦記』25巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)
開戦はっや。
幼女戦記の戦役のモチーフは第一次大戦と第二次大戦のミックスらしいので、この辺の経緯はWikipedia見てもあんまよくわからんスね。
作中で言及されているとおり、航空魔導部隊を持たない国家としては過去に対ダキア大公国戦役がありましたが、あの時は二〇三魔導大隊は単独・電撃的に首都まで侵攻しましたけど、

『幼女戦記』25巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)
航空魔導部隊との互角の戦闘が発生しないルーシー連邦戦役でも、再び首都まで侵攻するんですかね。
どう見てもルーシー連邦相手に戦勝しても、帝国には占領し統治し防衛する国力が枯渇しているので、電撃戦でモスコー(擬モスクワ)を電撃・痛撃して「痛い目見せて追い返した」以上のことは出来なさそうではありますが。
国力ということで言えば、今巻はなかったですが度々入る未来回想シーンによって、帝国の敗北は予告されていて、今巻では政治・軍事の両面でブレーキが効かなくなって、「(ターニャのおかげで)戦争に勝ち続けながら疲弊し枯渇していく帝国」の様子が分厚く描写されます。
十字キー状に東西南北すべての国と戦争して勝ち続け領土が広がり続ければ、素人が単純に考えても、国境線はより拡がり十字キーはよりデカく育ち、「そりゃ単独の国力で維持するのは無理でしょうよ…」という気がしてしまいますね。
帝国主義ってどういう方法論だったんだろうか…飛び地の植民地支配では列強が一定期間、一定の成果を納めていたり、よくわからん。欧州以外に対しては、科学・軍事技術の格差が成功の背景だったんかしらん。
そう言えば、第一次大戦〜第二次大戦のミックスということもあり、帝国は「皇帝のいない帝国」なのかしらん、と思いかけてたんですけど、

『幼女戦記』25巻より(東條チカ/カルロ・ゼン/KADOKAWA)
皇帝陛下、コミカライズ初登場ですかね、確か。
aqm.hatenablog.jp