浅草の阿良川一門の落語家(二ツ目)阿良川志ん太の娘、小学生・朱音(あかね)は父親の落語を誇りに思い憧れていた。
朱音も応援する父親の真打昇進試験、しかしその顛末は予想だにしないものだった。
内密かつ非公認に、一門ナンバー2の落語家・阿良川志ぐまに父に倣って師事して6年、高校生となった朱音は父親の意志と夢を継ぐべく、正式に志ぐまに弟子入りし阿良川一門に入門。
父の叶わなかった夢、真打を目指す朱音の落語家人生が始まった。
という、落語をモチーフにした成長譚の青春譚のサクセスストーリー。
先日結果発表された「次に来る漫画大賞」で上位だったのと、
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まだ巻数少なくて手を出しやすいな、と思って。
少年誌だけあって週刊少年ジャンプは少年少女を主人公にした成長譚の作品が多いですが、あんま「ビルドゥングスロマン」と分類・形容されることがないですね。自分もしたことない。バトルや試合に偏りやすいからかな。
タレント・俳優の木村拓哉氏は、どの作品・どの配役でもパーソナリティの個性が強くて「なにやってもキムタク」と度々揶揄されますが、
「平成最強のイケメン」の素材の味を活かすという意味で、需要もあるし戦略として間違ってないと思うんですけどね。熱心なファンじゃない自分も「嫌いじゃない」というよりは、華があって割りと「俳優キムタク」好きな方。
ネットのなかった時代もきっと「なにやっても裕次郎」「なにやっても松田優作」と思われていたことでしょう。(すみません、世代違いで詳しくないので、実は例に挙げた裕次郎や松田優作が七色の演技を持つカメレオン名優だったらごめんなさい)
本作は週刊少年ジャンプ本誌連載ながらモチーフが落語という変わり種ですが、まあ「なにやってもジャンプ」というか「落語やってもジャンプ」というか。
ページ数の多い第一話で主人公の幼少期を舞台に、父性キャラ(父親・師匠・兄など)の活躍と挫折・夭折が描かれ、
主人公がその夢を継ぐ決意をして、そして数年後の第二話へ…
という展開は、世界観と主人公の動機付けが強力で、ジャンプに限らず少年漫画の得意パターン。『ワンピース』もこれの変形ですね。
創作のパターナリズムは批判される向きもあろうかとは思うんですけど(そういえばプロ志向ながら典型的な「趣味×女子高生」フォーマットだな)、大衆娯楽ですし、良いパターンは飽きられるまで擦られて然るべきかな、と。
落語の漫画というと思い出すのは、『じょしらく』、
『昭和元禄落語心中』、
現役の作品だと『うちの師匠はしっぽがない』、
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とアニメ化に至った名作・人気作ばかりで、おそらくこの作品もアニメ化されるだろうと思いますが(声優さん大変だな)、
「なんだい落語の漫画描きゃ売れるのかい、一つアタシも描いてみようか」
と安易に手を出したら落語のオチみたいに爆死する、みたいなイメージのジャンルという印象。
「描けば売れるが描き手は選ぶ」というか、落語に対して愛とリスペクトがあって勉強して取材して、という高いハードルを越える意志を持ってないとそもそも描こうと思わないジャンルというか。
大衆娯楽でありながら伝統芸能でもあり教養の一種でもあって、落語の存在は大半の日本人が知っているが芸能としてキチンと愉しんでる人間は少数派、じゃあマイナージャンルかというと隠れ愛好家は沢山いるので漫画で下手なこと描くとツッコミの嵐、みたいな。
まだ1巻しか読んでませんが、過去の落語漫画と比べると、
一見、理不尽な修行・下働きが落語家としての成長に結びついてる因果が分かりやすく提示されていたり、落語の要素の一つを「観客とのコミュニケーション、ホスピタリティ」として描かれる点が、1巻では新鮮でした。
料理漫画とかではたまに見るんですけど。
ジジババイメージが強い伝統芸能の世界の中心で元気で可愛いJKが主人公、というのもギャップがありつついかにも今どきでキャッチーで、世代間コミュニケーションの楽しみや「男社会の中の女」という切り口にも派生できそうで、
見た目の印象以上に拡張性が高い作品だな、と。
どなたかがどこかでコメント書いてましたが、ポスト『アクタージュ』感もあり。
不可解な真打試験の真相あたりにちょっとしたミステリー要素もあり、落語の教養がなくても(私です)物語を楽しめるという意味で『ヒカルの碁』的でもあり。
さて。
えー、「読んではいないがネットで話題なのを見かける漫画」、というのは中々タイトルを正確に憶えられないものでございまして、アタシなんかは「鬼滅の刃」を
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長いこと「おにめつのじん」なんて心の中で読んじまってた始末なんですけれども、こないだ長屋のご隠居と漫画談義なんかしておりましたら、
「なんだいご隠居、最近の漫画はタイトルに『あかねこ』入れんのが流行ってんのかい?」
「流行ってるってお前さん、そんな漫画『ラーメン赤猫』だけだろう」
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「あの落語の漫画、『あかねこばなし(あかね小噺)』とかってやつがあったろう」
「お前さんそりゃ『あかねばなし(あかね噺)』だよ」
なんてことがございまして。
お後がよろしいようで。
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