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#ガールズ&パンツァー 劇場版Variante 8巻 【完】 評論(ネタバレ注意)

ガルパン劇場版の超出来物コミカライズ。

最終巻。

人物絵も悪くなし、劇場版と同じく3DCGモデルベースの戦車描写の精度が異常。構図も大胆。

あらすじは劇場版と同じも「裏・劇場版」と呼びたくなる追加シーン満載のコミカライズの醍醐味のような作品。

英語に疎いのに「Variante」の意味を辞書で調べるのを怠ってきたんですが、

『ガールズ&パンツァー 劇場版Variante』8巻より(伊能高史/ガールズ&パンツァー劇場版製作委員会)

それはちょっと…

おまけカットによると「異なるもの」との意味のようです。

この劇場版アニメのBDディスクの副音声(オーディオコメンタリ)の水島監督と柳野3D監督の掛け合いによると、水島監督は120分の尺を150分にできないか製作委員会に掛け合ったものの「スクリーンの回転率が低下するので」と断られ、30分分に当たるエピソード群を泣く泣くカットしたそうです。

『ガールズ&パンツァー 劇場版Variante』8巻より(伊能高史/ガールズ&パンツァー劇場版製作委員会)

本コミカライズは「Variante(異なるもの)」と題されましたが、実態はこの30分分のエピソードを復活させた、「ディレクターズカット」なんじゃないかと、自分は勝手に思っています。

『ガールズ&パンツァー 劇場版Variante』8巻より(伊能高史/ガールズ&パンツァー劇場版製作委員会)

同世代のスタープレイヤー、西住まほとチームメイトになることを夢見て一度は名門・黒森峰への進学を考えたものの、理由あってアンツィオを選んだアンチョビ。

そのアンチョビに対し、本人のいないところで彼女の強さを称賛する西住まほ。

このまほの独白をBGMに描かれる、アンチョビ率いるアンツィオ勢の活躍が熱い。

『ガールズ&パンツァー 劇場版Variante』8巻より(伊能高史/ガールズ&パンツァー劇場版製作委員会)

プラウダ勢の配下を失ったカチューシャの指揮する分隊に配置された、黒森峰のエリカ。

西住姉妹への憧れ・対抗意識・コンプレックスから抜け出せないエリカに対し、意外と人の本質を見抜いて特性を成長させ活かす育成タイプのリーダー、カチューシャがかけた言葉とその共闘。

『ガールズ&パンツァー 劇場版Variante』8巻より(伊能高史/ガールズ&パンツァー劇場版製作委員会)

アニメと同じく、CGトレスによる作画(だと思う)で精緻に破綻なく描写される戦車、止め絵としての完成度は高いですが、それ故に漫画作画表現としての機体の歪みやデフォルメの表現が描けず、さすがにアニメと比べると当たり前ですが「動いてない」です。

『ガールズ&パンツァー 劇場版Variante』8巻より(伊能高史/ガールズ&パンツァー劇場版製作委員会)

『ガルパン』に限らず『ガンダム』のアニメとコミカライズでもそうなんですけど、アニメだとCGモデルをカメラの前で実際に動かしちゃうので動いて見えるんですけど、漫画でメカの精緻なCGモデルを動かして見せるのはまだ発展する余地あるな、という感じ。解像度もやや馴染んでないように見えますね。

まあでも、「あの」劇場アニメの作画・動画と、漫画を比較することがそもそもフェアじゃないし、このコミカライズの本質はそこではないですね。

最後の戦い。

『ガールズ&パンツァー 劇場版Variante』8巻より(伊能高史/ガールズ&パンツァー劇場版製作委員会)

大団円へ。

コミカライズで「追加」されてきたエピソードは、各校の主に隊長キャラを中心に「列伝」のようにキャラの深掘りが為されたものが多かったんですけど、なんというか熱くてエモくて泣けるんですよね。(語彙ェ…

毎巻、原作をなぞるだけじゃない初見の「知らない名エピソード」が挟まって、とても付加価値の高い名コミカライズでした。

すべてのコミカライズがかくあって欲しいなあ。面白かった。

 

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