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#対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~ 5巻 評論(ネタバレ注意)

全寮制のお嬢様学園の高等部に入学してしまった、お嬢様の皮を被った2人の格闘ゲームオタクが出会ってしまったガール・ミーツ・ガール。

「お嬢様×格ゲー」ということで、『ゲーミングお嬢様』との類似やパクりパクられ疑惑などもありつつも、作者同士が仲良く対談なんかしたりしてまして、そもそも「ハイスコアガール」が先じゃねえか、って話もあり、仲良きことは美しき哉。

前作『柚子森さん』でおねロリ百合を描いていたいたりして、少女をフェティッシュに百合チックに描写するのが特色で、似たテーマを描きつつも『ゲーミングお嬢様』とはまた違っていて、棲み分けというか、どちらも楽しく読めます。

『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』5巻より(江島絵理/KADOKAWA)

前巻からいざ大会編! 全寮制のお嬢様学校で人目を偲んで日夜腕を磨く4人の女子高生ゲーマーが、福岡で開催されるオープン大会に見参。

一次予選プールを突破した4人のうちのダブルヒロインを待ち構えていたのは、『特攻の拓』世界観のルックスを持つ修羅のようなリーゼントのプロゲーマーたちだった…

ということで、予選ラウンドにおける、それぞれのvsプロゲーマーの決着。

それぞれの作品の特徴を浮き彫るために敢えて『ゲーミングお嬢様』と比較してみると。

世界観は『ゲーお嬢』が全てのプレイヤーが女性(お嬢様)であるファンタジーであるのに対して、『対あり』はプロを含む男性プレイヤーが多数派の界隈にヒロイン達が飛び込んで(殴り込んで)いくリアリティ路線。

『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』5巻より(江島絵理/KADOKAWA)

ギャラリーの反応も良かれ悪しかれよりリアルで、演出上の生々しい「ドヤ感」の強化に一役買っています。(『ゲーお嬢』のギャラリー、基本的に「MOBお嬢様たちのベガ立ち」だしな)

お嬢様度については、『ゲーお嬢』がネットミーム(ネタ)的な「ですわ」口調のお嬢様達ばかりなのに対し、『対あり』は基本的に「男が多数派の世界」である格ゲー界隈において「美少女」として注目を集めはするものの、作品タイトルと「全寮制のお嬢様学校」という設定以外はヒロイン本人たちは漫画的お嬢様要素が薄いです。

メインで扱うゲーム作品は、『ゲーお嬢』が「カプコンをケツ持ち」にすることで格ゲーの名作『ストリートファイター』シリーズを実名で登場させているのに対して、『対あり』は描写によって明らかに『ストリートファイター』シリーズがモデルであるものの架空のゲームとして描写されています。

と、似てるようでけっこう違うんですよね。

『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』5巻より(江島絵理/KADOKAWA)

『ゲーお嬢』がもともと格ゲー好きのニッチな読者向けのコンセプトということもあり、『ストリートファイター』の基本知識やテクニックをある程度自明のものとしてあまり細かく説明せず省略しているのに対して、『対あり』は架空のゲーム『π4』のルールや技、操作テクニックを懇切丁寧にわかりやすく説明する描写を入れています。

このことで「格ゲー漫画」描写として、メンタルや精神論の駆け引きが中心の『ゲーお嬢』に対して、『対あり』はメンタルにプラスしてよりテクニカルな駆け引きの描写が充実していて、差別化することに成功しています。

『対あり』が『ストリートファイター』シリーズを実名で登場させなかった判断は、出版社がスクエニなんでゲーム産業のライバル企業同士ながら同業のよしみで調整も可能だったんじゃないかとか、逆に『ハイスコアガール』における編集部のやらかしの反省からの判断だったんじゃないかとか、いろいろ思いますけど、結果から見ると成功しているように見えますね。

『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』5巻より(江島絵理/KADOKAWA)

ゲームのテクニカルな駆け引きの描写が楽しいですし、もっというと『ストリートファイター』に実在しないゲーム要素を勝手に追加できる余地も残ってますし。

なにより作者の「このスーパープレイの凄さ、伝わってくれ!」という暑苦しい熱がダイレクトに伝わってきて大変良いです。

今巻、大会の中で予選プールが終了し、主要キャラによってプロ相手に勝ったり負けたり周囲を驚かせたりと熱くて楽しい展開。

ベースの「闘争本能」のところだけは共有していた『ゲーお嬢』が、早いテンポで一通りやった上でシリアスな競技路線を一旦降りた今、格ゲーの競技者・勝負師のマインドを描き続けるバトンを受け取った形ですが、それに応えるだけの熱くてかっこよくて濃密な描写が今巻もされていて、続巻も引き続き楽しみです。

『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』5巻より(江島絵理/KADOKAWA)

ああ、あと、「百合萌えもの」としてはキャラの描写も関係性の描写も、こっちの『対あり』の方がガチ感あって可愛いですねw

 

 

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