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#これ描いて死ね 2巻 評論(ネタバレ注意)

東京から南へ120km、伊豆"王"島で暮らす女子高生・相(あい)は、島の貸本屋の漫画を全て読み尽くすぐらい漫画が好きだった。

心酔しカルト的な人気を誇る漫画家がコミティアで新作を頒布するとSNSで目にした相は、意を決してジェット船で東京に上京、ビッグサイトに赴く。

『これ描いて死ね』2巻より(とよ田みのる/小学館)

コミティアでみんなが「自分で漫画を描いている」ことに衝撃を受けつつ、たどり着いた目当てのブースで新作を頒布していた憧れの漫画家「☆野0」先生は、島で相の生活を厳しく指導しことあるごとに「漫画なんてくだらないから読むのやめろ」と口酸っぱく言ってくる手島先生だった…

で始まる、「漫画家もの」「女子高生部活もの」。

1巻あとがき漫画によると作者は実際、幼少期のみながら伊豆大島の出身とのことです。

『これ描いて死ね』2巻より(とよ田みのる/小学館)

顧問と仲間を集めて部を設立し活動を立ち上げる「部活もの」の王道展開、『まんが道』もかくやという漫画への憧れを、シンプルな展開とシンプルな絵と軽妙なコメティ展開に、力強い感情表現とおどろおどろしい情念を込めて。

およそ婉曲や見栄という概念が存在しない世界観のような、恥も摩擦もまったく怖れない力強いストレートなセリフと感情表現。

今巻は漫研に4人目(顧問入れると5人目)のメンバーも加わり、コミティアに出展側として初参戦の巻。

『これ描いて死ね』2巻より(とよ田みのる/小学館)

初めての同人誌、初めてのコミティア出展、初めての…と一般読者より漫画家や同人作家を「殺し」に行く巻。

自分は漫画も同人誌も描きませんしコミケやコミティアに出展したことも一度もないんですが、なんやろね、この既視感というか、憶えてないだけで昔コミティア出展したことあったっけかな?と偽の記憶をかまされるぐらい、情感のこもったディティールの描写。

『これ描いて死ね』2巻より(とよ田みのる/小学館)

1巻の感想に

かつて漫画家に情熱を燃やしそして枯れた師匠のもとに、無垢で強い情熱を備えてるけど漫画が下っ手クソな初心者が弟子入りし、鍛え上げられる?、王道は王道でもジャッキー・チェンの初期のカンフーアクション映画のような王道。

と描いたんですが、もっと近くにもっと似たモチーフがあって、『2.5次元の誘惑』のまゆら様とダダ被りですねw

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「2.5次元の誘惑」13巻より(橋本悠/集英社)

主人公たちに対してツンが成立してないツンと溺愛のデレのツンデレというか、どちらも愛おしいキャラ造型で大好きw

巻末に、漫画家を目指していた頃の手島先生の青春時代エピソード短編『ロストワールド』が再び、今度は「第9話」と本編正式ナンバリングされて登場。

『これ描いて死ね』2巻より(とよ田みのる/小学館)

相たち主人公がまだ「まんが道」の入り口に居る分、先生の『ロストワールド』がプロの高見を目指すことの深淵を描くかのようなテーマ分担。

このまま続いていけば、いつか「漫画家を諦める」時が彼女に訪れ、本編と交わっていくんかな。

あんまネタ潰し予想や妄想はアレですけど、いつか相たちが高校を卒業したら、先生ももう一度…

逆に、やはり1巻の感想で

「大丈夫だよコイツ、この先いろいろあるんだろうけど」

「ほっといても10年後にすげー漫画家になってるよコイツ」

と描いたんですけど、相のモチベーション、「もっと面白い漫画を描きたい」「もっと読まれたい」は、

『これ描いて死ね』2巻より(とよ田みのる/小学館)

「すげー漫画家になること」とニアリーではあっても、必ずしもイコールではないんだよな、とちょっと思ったりも。

 

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