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#株式会社マジルミエ 5巻 評論(ネタバレ注意)

突如発生し人に害をなし損害を与える怪異を、退治するサービスが「魔法少女」と称され、複数の企業が魔法少女サービスを提供する社会。

就職活動中の女子学生・桜木カナは面接に連戦連敗中の最中、大手金融企業の面接中に会議室で発生した怪異に巻き込まれる。

『株式会社マジルミエ』5巻より(岩田雪花/青木裕/集英社)

通報で現場に駆けつけた魔法少女の怪異退治「業務」を手伝った縁で、カナは魔法少女ベンチャー企業「株式会社マジルミエ」にスカウトされ魔法少女として就職することになった…

という、ジャンプ+の魔法少女お仕事漫画。

『パトレイバー』の「レイバー」のように現実社会に「魔法少女」という大きな「嘘」を一つ放り込んで、

『株式会社マジルミエ』5巻より(岩田雪花/青木裕/集英社)

魔法少女を企業サービスとして現代社会ナイズ、嘘の周辺を現実的な描写・展開で固めることで、ファンタジー世界観のリアリティラインを部分的に押し上げてシミュレーションしてお仕事漫画のテイに。

現実のお仕事で起きそうなストーリーラインで展開するので、特に本作はIT系のシステム開発屋さんが感情移入しやすい作りに。

「今日も一日がんばるぞい!」が『GS美神』よろしくバケモノ退治する漫画、でざっくり説明できちゃいそうな世界観。

『株式会社マジルミエ』5巻より(岩田雪花/青木裕/集英社)

魔法少女を会社化した時点で、その「業界」が日本の社会とどう繋がっているのかは知りたいところでしたし、遅かれ早かれ語られるんだろうと思っていましたが、今巻でおよそ。

・中世代から怪異は発生していて、民間の巫女がそれを祓っていた

・近代においては怪異退治が国営化され「魔法省」が管轄していた

・近年「魔法省」による「魔法少女業務」は民営化され、管轄が厚生労働省、の外局「魔力エネルギー庁」に移管された

・「魔法少女」業務を営む民間企業は「新日本魔法エネルギー協会」に加盟し認可され、協会トップは官僚の天下り

防災という意味では国土交通省、治安という意味では内閣府(→国家公安委員会→警察庁)、エネルギーや産業という意味では経済産業省、害獣駆除の延長では防衛省、どれかなと思ってたんですが、厚生労働省の外局のようです。

『株式会社マジルミエ』5巻より(岩田雪花/青木裕/集英社)

怪異退治を「防疫」と見做した故か、魔法を「人体の可能性の開発」と捉えた故か。

その割りに、監督官庁も業界団体も名前に「エネルギー」を冠しているのがちょっとよくわかんないですね。

民営化前までは「魔法省」が存在していたということは、「魔法大臣」もいたんですよね多分。

いいなあ、魔法大臣。なりたい。

話の進行に上手く絡めながら、産業の背景、関連団体の関係性、利害と派閥、癒着と不正などがわかりやすく描かれ、リアリティラインが少し上がりました。

『株式会社マジルミエ』5巻より(岩田雪花/青木裕/集英社)

魔力エネルギー庁長官がいかにもな堅物のツンデレ親父で、影の良き理解者になってくれそう感すごいですが、娘が魔法少女になるのを反対した理由はなんでしょね。

長官をやりつつ、魔法少女を「身内にやらせたくないが誰かがやらなきゃいけない3K労働」として見てる、ということなんかしらん。

いずれにせよ、社会の中での魔法少女と株式会社マジルミエの置かれた座標が明確になって、なんというかお仕事ものとしてのスケール感や読み応えが出てきて、今後のベクトルもなんとなく見えてきましたね。

 

 

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