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#株式会社マジルミエ 6巻 評論(ネタバレ注意)

突如発生し人と社会に害をなし損害を与える怪異を、退治するサービスが「魔法少女」と称され、複数の企業が魔法少女サービスを提供する社会。

就職活動中の女子学生・桜木カナは面接に連戦連敗の最中、大手金融企業の面接中に会議室で発生した怪異に巻き込まれる。

通報で現場に駆けつけた魔法少女の怪異退治「業務」を手伝った縁で、カナは魔法少女ベンチャー企業「株式会社マジルミエ」にスカウトされ、魔法少女として就職することになった…

という、ジャンプ+の魔法少女お仕事漫画。

『株式会社マジルミエ』6巻より(岩田雪花/青木裕/集英社)

『パトレイバー』の「レイバー」のように現実社会に「魔法少女」という大きな「嘘」を一つ放り込んで、魔法少女を企業サービスとして現代社会ナイズ。

嘘の周辺を現実的な描写・展開で固めることで、ファンタジー世界観のリアリティラインを部分的に押し上げてシミュレーションして、お仕事漫画のテイに。

『株式会社マジルミエ』6巻より(岩田雪花/青木裕/集英社)

現実のお仕事で起きそうなストーリーラインで展開するので、特に本作はIT系のシステム開発屋さんが感情移入しやすい作りに。

「今日も一日がんばるぞい!」が『GS美神』よろしくバケモノ退治する漫画、でざっくり説明できちゃいそうな世界観。

『株式会社マジルミエ』6巻より(岩田雪花/青木裕/集英社)

前巻で、「魔法省」あらため「魔力エネルギー庁」と、その支配下にある「新日本魔法エネルギー協会」に加盟し認可された民間企業群、という業界構造も提示されて世界観のリアリティがグッと上がったのと同時に、官民癒着による不正で歪な業界構造、という『パトレイバー』や『攻殻機動隊SOC』っぽい課題も提示されました。

青年漫画ならともかく、少年漫画でこの解像度で官民癒着の不正な業界構造が描かれるのは、なんだか久しぶりな気がしますね。

『株式会社マジルミエ』6巻より(岩田雪花/青木裕/集英社)

「少女の憧れの職業」であることに乗っかって「やりがい搾取」が横行しそう、と言う意味で、アイドルものとも共通するものがありますね。

現場の声が組織内政治を覆す、というのは公務員・サラリーマン含め現場で働く人々のある種の共通の夢で、その夢に寄り添うように描かれている漫画。

サラリーマンの自分には共感ポイントが多く、高いです。

組織が大きくなると現場と経営の距離が遠くなる「大企業病」が原因で、それ故に本作の主人公たちの会社はアンチテーゼとしてベンチャー企業なんですけど、組織の大きさの問題だけじゃないよな、上に立つ者、現場に立つ者、それぞれの資質や相互のリスペクトなど、身につまされることが多いよな、と。

自分がマジルミエの社員だったら、何の役に立てるだろうかと、少し考えてしまいますね。

『株式会社マジルミエ』6巻より(岩田雪花/青木裕/集英社)

それはそうと、「お仕事もの」の中でも軍事・警察・消防などのトラブル対応業務の

「作戦シークエンスの下命と報告の現場無線連絡に対するフェチズム」

というものが昔から在ると思うんですが、

(『パトレイバー』、『エヴァ』、『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』、etc)、

本作のオペレーション無線も

『株式会社マジルミエ』6巻より(岩田雪花/青木裕/集英社)

魔法のエフェクトと併せてとてもカッコよくて、アニメ映えしそうですよね。

アニメ化とかまだ決まってないんですっけ?

早くアニメで観てみたいなあ。

 

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