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#逃げ上手の若君 10巻 評論(ネタバレ注意)

「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」の松井優征の現作は、鎌倉時代末期〜南北朝時代〜室町時代初期を舞台にした歴史物。

設定・登場人物は史実ベース。

デビューから3作連続10巻到達は「週刊少年ジャンプ」本誌史上、初めてになるとのことです。

『逃げ上手の若君』10巻より(松井優征/集英社)

鎌倉幕府のトップ・執権として世襲で地位を継いできた北条氏の嫡子の少年・北条時行。しかし、幕府と敵対する後醍醐天皇側に寝返った足利高氏(尊氏)により、鎌倉幕府は滅ぼされてしまう。

北条氏の滅亡により大切なものを全て奪われた時行は、信濃国の国守にして神官の諏訪家を頼りに落ち延び、足利への復讐を誓う。

『逃げ上手の若君』10巻より(松井優征/集英社)

という伝記もの。シリアスに史実を追いつつも、演出としてギャグコメディ色も強い作品。

主人公・時行の持ち味は強い生存本能に基づく逃げの天才。

1335年3月、信濃動乱を経て、時行が歴史にその名を轟かしWikipediaに載るレベルの「中先代の乱」。「為に作品が始まったエピソード」、時行の人生のハイライトの一つ。

『逃げ上手の若君』10巻より(松井優征/集英社)

信濃国での諏訪一党による挙兵、北条時行としての名乗りを経て、進軍を開始、目指すは、京で全国を睥睨する高氏に代わり直弟・足利直義が治める、武家の総本山、鎌倉。

迎え撃つは直義の親衛、関東最強の庇番衆。渋川、岩松、斯波、吉良、上杉、一色、今川、石塔。

鎧を着たおっさんばっかりの地味な絵ヅラになりそうなところ、ゆうきまさみの『新九郎、奔る!』とはまた別のやり方で漫画ナイズ。というか、子孫一族の皆さんから怒られるギリギリを狙ったキャラ付けw

『逃げ上手の若君』10巻より(松井優征/集英社)

「破竹の勢い」との形容句そのままに、庇番衆の有力武将たちを撃破。

バトルシーンもさることながら、「死に様=行き様」というか、それぞれの戦う理由、逃げない理由、死んでもいい理由。

「一所懸命」は鎌倉時代の武士のスローガンみたいな言葉、と習いましたが、所領以外の何かのためにも文字通り「命懸け」で生命のやり取りに臨むそれぞれの心境は、

『逃げ上手の若君』10巻より(松井優征/集英社)

読んでいてなんとも形容し難いですね。

少なくとも、現代に対して「鎌倉時代のように在れ」とは言えませんから。

ただなんというか、時代が違って制度が違って倫理が違っても、正しいとか正しくないとかじゃなくて、「生命の営みだなあ」「人間の営みだなあ」というか。

『逃げ上手の若君』10巻より(松井優征/集英社)

我ながら何が言いたいんだかよくわからん感じで、次巻に続く。

 

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