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#スーパーカブ 8巻 評論(ネタバレ注意)

父親は事故で他界、頼れる親戚もいないところに母親に失踪された大人しい女の子が通学用に中古のスーパーカブを買って乗る話。

1巻冒頭で出てくる「日野春駅」をググると、舞台は山梨県北杜市らしい。

『スーパーカブ』8巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

原作は角川スニーカー文庫、小説の表紙絵は「明日ちゃんのセーラー服」の人。このコミカライズの人も、デビュー作より気持ち絵柄を原作表紙の人に寄せてていい雰囲気。

ヒロインたちも高校3年生になり、進路が気になる、というより「進路を気にしろ」と時間にせっつかれるお年頃。

バイク乗りのツテで、小熊とカブ友の礼子に雑誌の撮影のオファー。

『スーパーカブ』8巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

その企画は、以前断念したカブによる富士山登頂に三たび挑戦し、「マイカブ」で富士山登頂成功。

という前巻を受けての今巻、季節は秋。

日常乗りのノーマルのカブで富士山登頂した無理がたたって、小熊と礼子のカブはボロボロに。

丁寧に修理し礼子のカブは快調に復帰するものの、小熊のカブはあっちを直せばこっちが壊れ、というカブらしからぬ受難の巻。

『スーパーカブ』8巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

ついにはエンジン分解修理まで必要に…

富士山登頂で青春だーとか言ってる間に読んでるこっちは忘れてたんですけど、1巻冒頭、小熊は親に捨てられ貧困で友達もいなくて孤独で、カブだけが心の支えだったんだよな、と思い出させられる展開。

一つ一つのカブの故障とその修理費用がボディブローのように小熊の精神を圧迫し、なにより愛するカブが永遠に失われるかもしれないという恐怖。

『スーパーカブ』8巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

子どもの立場でまだ経済力がない上に、大学進学に奨学金が見込めるとはいえ、経済的には孤立無援って辛いというか、しんどいよな…

今の自分は大人だし、一人で生きていくには十分と言っていい経済力もあって、小熊も10年後20年後には「あの頃はお金がなくてしんどかったな」と笑って話せるようになるのかもしれないですけど、

『スーパーカブ』8巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

周囲が家庭環境に恵まれて経済的にも困窮してない(ように見える)中、17〜18歳で

「自分は孤独で貧乏だ」

と自覚するのは本当にしんどい。

女子高生の一人暮らしとか漫画の便利な都合でよくあるんですけど、小熊のはそういうアレじゃねえもんな。

小熊のカブへのこだわりは正直少々狂気じみてるところもあるんですけど、孤独で貧乏な小熊を支えて、親友との縁を繋いでくれたのはカブだったんだよなあ、と、今巻であらためて。

『スーパーカブ』8巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

エンジンの分解修理代ぐらいおっさんが出してやりてえけど、でもそういう問題じゃねえんだよな。

ちょっと、小熊と同じような境遇の子どもを援助する寄付や基金ってどんなんがあるんだろう、って調べ始めてしまうものがありますね。

折れるな小熊。がんばれカブ。

 

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