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#アルスラーン戦記 19巻 評論(ネタバレ注意)

表紙はこれ誰だろう?と思ったらサームでした。ご親切に、今巻冒頭から出番が多いw

田中芳樹の高名なファンタジー戦記を荒川弘がコミカライズという鉄板漫画。

『アルスラーン戦記』19巻より(荒川弘/田中芳樹/講談社)

原作でいうと第一部の終盤、原作全7巻の7巻相当ぐらい、『王都奪還』あたり。

虜囚の身から自力で脱出し、救国の軍を起こした息子の軍勢に合流したアンドラゴラス王に「兵力5万を集めるまで帰参するにあたわず」と追放されたアルスラーン王子。

彼を慕って軍を脱出した少数精鋭・一騎当千の部下たちと訪れた港町ギランで海賊や悪徳領主を制圧。

『アルスラーン戦記』19巻より(荒川弘/田中芳樹/講談社)

一方、アンドラゴラス率いるパルス軍はペシャワール城を進発、王都エクバターナに向かって進軍を始めた…

ということで、今巻はアンドラゴラス軍とルシタニア軍が平原で激突、暗躍するヒルメスや力を蓄えたアルスラーン軍は漁夫の利の間隙をついて王都へ向かう。

「風は王都へ」という感じで全ての勢力が決着を求めて王都に集まりつつ、というところ。

『アルスラーン戦記』19巻より(荒川弘/田中芳樹/講談社)

原作リスペクトの強い忠実な構成、大量の主要登場人物の描き分け、描くのが大変ながら労を惜しまない会戦の描写と、相変わらずコミカライズにあたってこれ以上ない「当たり作画」。

連載始まった頃は「このペースでコミカライズなんて第一部終わんのに何年かかるんだ」と思ったものですが、終わりが見えてきましたね。

遠い先のことだと思ってましたけど、コミカライズの第一部も最終決戦展開を残すのみ。

アトロパテネ会戦、コミカライズ開始当初が思い出されて懐かしい。

『アルスラーン戦記』19巻より(荒川弘/田中芳樹/講談社)

原作の7巻は「畳みかけるように」というか、結末に向けて途中経過の省略もあってスピーディに展開してスリリングでした。

書き下ろし文庫本一冊分なので2時間もあれば読み終わっちゃったしね。

漫画の連載はそうはいかず、期間をかけてじっくり描かれ、読む方のペース・読み味もそれなりにじっくりと。

そういえばその後、漫画『逃げ上手の若君』の連載が始まり現在も継続中ですが、敗戦し滅亡した王国の少年王子が地位の回復を求めて頼れる仲間と共に戦うお話、という点でよく似てますね。

向こうにもナルサスみたいなんいるし。

『アルスラーン戦記』19巻より(荒川弘/田中芳樹/講談社)

「貴種流離譚」と古来からジャンルに名前がついているぐらい、ポピュラーな物語の類型なので似るのも当然ではある、というか、歴史の中の貴種流離譚の要素は物語として切り取られがち、というお話ですね。

義経とか。戦記もの・軍紀もの多いね。

Wikipedia「貴種流離譚」には『アルスラーン戦記』に関する記載もあるんですが、

著者はあとがきなどで、貴種流離譚を反転させて物語の発想としたことを語っている。

ja.wikipedia.org

と書かれています。

一瞬、「ん?」となりました。

ああ、そうか、アルスラーンは「王の血を引いていない王子」で、貴種流離譚の逆なのか。

さて、あと数冊で「第一部」相当分が完結、というところ。

『アルスラーン戦記』19巻より(荒川弘/田中芳樹/講談社)

さて。さて。

 

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