14歳の少女・一花は祖母の葬式で出会った同じ年頃の金髪のとても美しい少女・アリアに一目で心を奪われる。
アリアは不思議な眼の力で周囲の人間の疑問を霧散させて屋敷に居着き、一花と共に探し物をし、また一花の首筋から血を吸った。
アリアはようやく見つけた探し物、一振りの短剣を鞘から抜いて一花に差し出し、「わたしを殺してくれ。」と依頼する。
吸血鬼×百合というこの上なく耽美なテーマ。
今巻で完結。
「永遠の生命」と人間の、寿命ギャップを伴う恋、というのは漫画においても定番のモチーフの一つで、その中でも「吸血鬼と人間」はその代表的な組合せです。
現在の他のヒット作でも、『よふかしのうた』がまさにそうですね。
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作品の数、「吸血鬼と人間」のカップルの数が多い分、その行く末も様々で、
「この吸血鬼×人間のカップルは最終的にどうなるか」
は見どころの一つです。
さて、本作はどうだったでしょうか。
話としては奇を衒ったものではありませんでした。
「デウス・エクス・マキナ」と、「王子様のキス」の代わりに剣でひと刺し。
ですが、並みいる吸血鬼たちを向こうに回して、ただの人間の少女が初めて?主導権を握っての、重たい決意。
エンディングに向かう最後の十数ページの二転三転は、その「決意」に対してあるいは蛇足と感じる向きもあるかもしれませんが、ある意味「決意」の時点で一花の物語としては終わっていて、エンディングは作者から一花とアリアへの優しいご褒美、という気もしないでもないです。
作者次第でハッピーエンドにもバッドエンドにもどうにでもできた状況でのラスト十数ページのエンディングで、「吸血鬼もの」のラストのバリエーションとして、どうカウントするべきなのか悩みますw
おそらく描かれた動機は
「吸血鬼と人間の少女同士の、美しく耽美な百合を描きたい」
だったと思いますし、
「吸血鬼と人間の少女同士の、美しく耽美な百合を読んだなあ」
と思いました。
面白かったし、次作も楽しみです。お疲れ様でした。
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