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#堕天使論 2巻 評論(ネタバレ注意)

親の海外赴任でマンションで一人暮らしの、平凡な男子高校生がベランダから外を眺めていた眼前で、空から美少女が落ちてきた。そのまま落ちていった。

彼女は天界において、人間の良さを理解できない故に愛することができず、それ故に堕天ポイントのスタンプが溜まって追放された、堕天使だった。

『堕天使論』2巻より(くろは/集英社)

神の温情と計らいにより、都合の良い設定の男子高校生の部屋に住民票を登録された彼女は、初めて受肉し肉体を与えられ、人間を愛し天使としての本分を取り戻すことによる、天界への復帰を誓うのだった。

全裸で。

という、ジャンプSQ連載の美少女オバQもの。祝福あれ。

『堕天使論』2巻より(くろは/集英社)

美少女オバQは日常コメディが中心ですが、

「(主に外の世界の)どこから来たか」

「(なにしに)なぜ来たか」

で話の縦軸が変わります。

今回の美少女オバQヒロインに持たされたのは、「天界から追放されて」、「肉の体を持つ人間の愛を理解」し、「愛を知って天界に復帰」したいという特性と動機。

『堕天使論』2巻より(くろは/集英社)

精神的な概念の存在だった「天使」が初めて肉体を与えられ、その肉体が感じる便利・不便利と快・不快とを体験することで、「人間の肉体と精神が不可分である」側面をコメディ漫画で浮き彫りにしよう、という試みにもなっています。

あとパンツ見え放題。祝福あれ。

『堕天使論』2巻より(くろは/集英社)

男子高校生の近所の幼馴染の少女、そして堕天使が勝手に主人公を追うように転入した高校のクラスメイトたち、とオーソドックスに脇キャラを増やす展開。

「神様ネタ」「聖書ネタ」という意味で『聖☆おにいさん』ちょっとジャンルがかぶってますけど、こっちの作品もなかなかのキレ。

未満恋愛ラブコメの「名前のない関係」に、聖書由来であっさり名前がついたw

『堕天使論』2巻より(くろは/集英社)

馬鹿馬鹿しくて可愛いギャグラブコメですが、世界最大級の伝統的宗教をモチーフにしているだけに、くだらない切り口からたまにクリティカルに深い命題に一瞬触って逃げていく、ピンポンダッシュのような漫画。

「堕天使が人界で愛を学ぶ」というテーマを通じて、「人の愛」、特にラブコメ漫画作品として描かれる「性愛」と、「神の愛」との違いは、なんだろうか。

他のラブコメ作品のキャラたちが煩悶し懊悩する「名前のない関係」を、聖書の引用であっさり乗り越えていく様を見ていると、

「これが宗教の効能の一面か」

「宗教とはつまり悩める子羊たちの煩悶を、教祖が予め

 『それ先に悩んどいたわ』と肩代わりすることなのではないか」

とか、普段考えない益体もないことを、ちょっと考えさせられます。

『堕天使論』2巻より(くろは/集英社)

あとパンツ見え放題。祝福あれ。

 

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