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#堕天使論 1巻 評論(ネタバレ注意)

親の海外赴任でマンションで一人暮らしの、平凡な男子高校生がベランダから外を眺めていた眼前で、空から美少女が落ちてきた。そのまま落ちていった。

彼女は天界において、人間の良さを理解できない故に愛することができず、それ故に堕天ポイントのスタンプが溜まって追放された、堕天使だった。

『堕天使論』1巻より(くろは/集英社)

神の温情と計らいにより、都合の良い設定の男子高校生の部屋に住民票を登録された彼女は、初めて受肉し肉体を与えられ、人間を愛し天使としての本分を取り戻すことによる、天界への復帰を誓うのだった。

全裸で。

『堕天使論』1巻より(くろは/集英社)

という、ジャンプSQ連載の美少女オバQもの。祝福あれ。

「人類社会・日本社会の初心者」の美少女との同居・居候ものコメディ。類似の作品は枚挙にいとまがありませんが、動きと間と会話芸が中心のコメディの雰囲気は、むしろ冨樫義博の『レベルE』の最初のエピソード、「バカ王子・地球襲来編」が最も近いかもしれません。ありゃ美少女ではないですけど。

『堕天使論』1巻より(くろは/集英社)

美少女オバQは日常コメディが中心ですが、「(主に外の世界の)どこから来たか」「(なにしに)なぜ来たか」で話の縦軸が変わります。

今回の美少女オバQヒロインに持たされたのは、「天界から追放されて」、「肉の体を持つ人間の愛を理解」し、「愛を知って天界に復帰」したいという特性と動機。

精神的な概念の存在だった「天使」が初めて肉体を与えられ、その肉体が感じる便利・不便利と快・不快とを体験することで、

『堕天使論』1巻より(くろは/集英社)

「人間の肉体と精神が不可分である」側面をコメディ漫画で浮き彫りにしよう、という試みにもなっています。

男子高校生の近所の幼馴染の少女、そして堕天使が勝手に主人公を追うように転入した高校のクラスメイトたち、とオーソドックスに脇キャラを増やしつつ展開される1巻。

ギャグコメディとしてとても楽しい作品。

『堕天使論』1巻より(くろは/集英社)

美少女オバQもののエンディングは大別すると

・続く(未決着、終わらない日常)

・居着く(人間化、人生の共有)

・帰る(目標達成、決着、生き別れ)

・連れ帰る(旅立ち・超越)

・死ぬ(事件・事故・寿命などに死に別れ、滅亡・心中)

の5種類ぐらいの基本パターンとその組み合わせしかないんじゃないかと思うんですが(あと例外が「未完」ね)、「美少女の降ってき方」の変化球が面白かったので、日常コメディを楽しみつつも、どんな結末を迎えるのか、1巻にして早くも楽しみな作品。何年先だかわかりませんが。

なんかもう、フリとしては切ないお別れの予感満載なんですけど、

『堕天使論』1巻より(くろは/集英社)

いかにもベタを外して変化球投げてきそうな作風ですよねw

「肉体初心者」の堕天使が衣服を着る意義を理解できないところから始まるため、局部を隠した全裸描写が多く、おそらく、アドセンスNGの警告くると思います。

祝福あれ。

 

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