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#ウマ娘 シンデレラグレイ 12巻 評論(ネタバレ注意)

表紙はバンブーメモリー。

実在の競走馬を美少女擬人化した育成ソシャゲ『ウマ娘』の派生コミカライズ。

日本の競馬史に残る名馬・オグリキャップの現役時代をモチーフにしたスピンオフ。

1〜2巻で地方レース(カサマツ)編が終わり、3巻から中央に移籍。

ウマ娘世界観でいう「中央トレセン学園」に編入し、並み居る名バ達と本格的にシノギを削る展開に。

『ウマ娘 シンデレラグレイ』12巻より(久住太陽/杉浦理史/伊藤隼之介/Cygames/集英社)

モチーフとなった史実が日本競馬史上最大級のシンデレラストーリーにして、トウカイテイオーと並ぶ日本競馬史上最大級の復活劇というドラマで、かつ現役時代を通じて魅力的なライバルにも恵まれていた馬のお話なので、更にifを加えた作話の骨組みの時点で優勝です。ありがとうございました。

タマモクロスが去ったターフで新たなライバルたちとの激闘が開幕、題して「第三章 永世三強」編。

ja.wikipedia.org

dic.pixiv.net

オグリキャップの古バ1年目、永世三強を筆頭に多士済々のGⅠ戦国時代、伝説の秋シーズン。

その1戦目、天皇賞・秋はスーパークリークの2着に敗れたオグリキャップ。

『ウマ娘 シンデレラグレイ』12巻より(久住太陽/杉浦理史/伊藤隼之介/Cygames/集英社)

古バ中長距離路線を進むオグリキャップの次戦は、前年と同じくジャパンカップ(2,400m)になるはずだったが、そんなオグリに挑戦状を叩きつける新たなウマ娘が登場する…

犬も歩けば棒に当たるというか、オグリも走ればライバルに当たる、という。本当に漫画みたいに好敵手に事欠かないウマ娘。

というわけで、現実の日本競馬のオグリキャップ古馬1年目でも物議を醸した、「マイルチャンピオンシップ(1,600m)→ジャパンカップ(2,400m)」の、わずか中1週間の連闘。

現実の競馬はもちろんサラブレッドが自分でレースを選ぶわけではないので、オーナーと調教師による「陣営」の判断が「名馬の競技寿命をいたずらに縮めるものだ」と、物議を醸しました。

ローテーションを見ると、この年は怪我で春シーズンを棒に振った分を取り戻すかのように、秋シーズンだけで計6戦も走ることになるんですね。

『シングレ』でこれがどう再現されるか、作品開始当初からの一応の懸案ではあった秋シーズン。

『ウマ娘 シンデレラグレイ』12巻より(久住太陽/杉浦理史/伊藤隼之介/Cygames/集英社)

まあ、そうなるな。作劇的にも、大人の事情的にも。

他人の意向でイヤイヤ走らされるオグリキャップなんて、『ウマ娘』で描けるわけねえもんな、という。

極めて熱血スポ根的な展開、理知的で在りたい六平トレーナーが苦渋の決断の安西先生ポジションで、ちょっと割りを食って可哀想ではあります。

このオグリと六平の決断と、深くリンクするようなセリフ。

『ウマ娘 シンデレラグレイ』12巻より(久住太陽/杉浦理史/伊藤隼之介/Cygames/集英社)

ソシャゲにしろアニメにしろ他のコミカライズにしろ、『ウマ娘』世界観では基本的に「引退」にまつわる要素は注意深く取り除かれることがほとんどなんですが、史実準拠で基本シリアスな『シングレ』だけが例外です。

スポーツ漫画の歴史において、翼くんも花道も通った道。

「原作」が小細工不要なドラマティックな「馬生」というのもありますが、ソシャゲやアニメと違って未だ「if」の切り札を切らない『シングレ』のユクスエ。

そのカードの切りどころをなんとなく想像させられてしまう12巻。

ペース的には次巻、マイルCS決着かなと思います。

『ウマ娘 シンデレラグレイ』12巻より(久住太陽/杉浦理史/伊藤隼之介/Cygames/集英社)

作中の未来を日本競馬の史実で知っていても、「がんばれオグリ、がんばれオグリ!」と祈らずにはいられない。

気がつけば、「あの」伝説の有馬記念まで、作中時間はあと1年と少ししか残されていない。

 

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