青春ラブコメって群像劇化して、表紙もいろんなキャラが持ち回りで飾ることが多いんですけど、この作品は一貫して美津未と志摩くんを表紙にフィーチャーし続けますね。
何か思うところがあるんだろうか。
岩倉美津未(いわくら みつみ)、15歳(その後16歳)。
「石川県のはしっこ」、学年8人の中学から、東大法学部卒・中央省庁官僚を経て地元の市長となる大志を抱いて、叔父の住む東京の「高偏差値高校」に進学。
同級生8人の中学とはまったく違う大都会・東京の高校の人間関係、クラスメイトたちの「珍妙な田舎者」という視線が突き刺さる、予定に反してあまり順風満帆とは言えない高校デビュー・東京デビューと、思われた、が。
東京のクラスメイトたちは思ったより優しい良い人たちだった…
という学園青春もの。
「楽しい日々が始まったよ」
「きっと素敵な高校生活が待ってるよ」
と、まるで誰かを励ましているかのようで、タイムスリップして高校生活をもう一度過ごすのも悪くないなあ、なんて思ってしまいます。
高校2年生、夏休み。
女4人・男3人の仲良しグループはクラスもバラバラになってしまったし、美津未と志摩くんはお試しで付き合って「なんか違う」で別れてしまったけれど、されど高2の夏休み。
東大に数十人を送り込む進学校、来年の夏はみんな受験生。
美津未は勇気を出して、実家・石川県は能登半島への帰省に、みんなを誘う。
ということで、男女7人夏物語(1人欠席)、美津未の実家帰省編。
山田はなんか、この旅行に行かせたくない神の見えざる手が働いたかのように、直前に彼女ができましたねw
わー。美津未はこの夏のこと、一生忘れないだろうな…
おじさんなんでBGMにサザンを流したくなりますが、あれでしょ、今時の若い人はオレンジレンジとかなんでしょ?
青春のキラキラと多幸感に満ちた、自分もこんな頃に帰りたくなるような美津未の高校生活を飾る巻ですが、能天気にキャッキャウフフしてるだけの青春ではなくて、みんなそれぞれしんどい思いをして傷ついて、でも戦うでもなく、逃げるでもなく、乗り越えるでもなく、しんどさというか「青春がもたらす傷」をそこに居る友人であるかのように共に生きてる、というべきなんでしょうか。
中でもふみちゃん、しなやかで強くて、良いですよね。
こんな風にみんなで一緒にいられる時間がそんなに長く無いことも、既に美津未と離れて暮らしているふみちゃんの回想とモノローグを通じて語られますが、
「寂しいばっかりじゃないんだよ」
「それでも離れてても私たちは大丈夫だよ」
と、まるで再び、どこかの誰かを励ましているかのような。
aqm.hatenablog.jp
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