駆け出しイラストレーター・影野夜子(23)は自他共に認めるコミュ症で、飲食店などの店員の接客でも緊張するタチだった。
引き篭もっての作業中、空腹に耐え兼ねた夜子は久しぶりに外出、地元の商店街に足を運び、おしゃれカフェに勇気を出して入店。
注文に向けて緊張していた夜子を迎えたのは、猫の店員「しまちゃん」だった。
よもぎ町では、様々な動物スタッフが、店員として働いている…
「店員さんが動物で可愛い」というだけの、幼稚園児向けの絵本みたいなコンセプトのちょっとファンタジー日常漫画。
テッシュを配るシロクマ、八百屋のウサギ、和菓子屋のアライグマ、カフェのネコ、パンダの保育士、スーパーのレジ係のリクガメ、交番のミーアキャット、銭湯の番台のカピバラ、魚市場のペンギン、マッサージ店のニホンザル、お寺のワラビー。
コンプレックスとストレスと運動不足の塊のような夜子が動物の接客に癒されて、特に日本語を喋るでもない動物たちが、一生懸命働いてて可愛くて親切でほっこりする、というただそれだけです。
設定自体は誰でも思いつくし、なんだったら似たような先行作品、主に絵本や児童文学で探せばいっぱいある「ただそれだけ」です。
ただ、ちゃんとした漫画家がちゃんと描いた動物の働き様の描かれ方が、物言わぬ動物ごとの愛らしい仕草の特徴を切り取っていて、「ただそれだけ」がクオリティ高くて割りと最強。
美容室のアライグマのシャンプー係は目からウロコだわw
今巻は、駄菓子屋の店番の柴犬、美容室のアシスタントのアライグマ、動物に嫌われる喫茶店マスター代理、保育園のおさんぽで迷子になった保育園児と子パンダ、チベットスナギツネとマヌルネコのアパレルショップ、動物商店街の年末福引セール。
動物にしつこくして嫌われる新キャラ登場したこともあって、全編通じて、動物に怒られたり、動物同士が不仲だったりするエピソードが多い巻なんですけど、それを含めても微笑ましいですねw
動物が人間の言葉を理解して意思疎通して人間社会で働くという、リアルではない漫画なんですけど、動物が人語を理解はしても喋ることはできない、少し不器用な「沈黙の隣人」としたことで、「異種間コミュニケーションの微笑ましさ」のリアリティだけがリアルから延長されているような雰囲気で、良い設定だなあ、と思います。
今巻も癒され面白かった。
aqm.hatenablog.jp